卒業が迫ったある日、下校後に少しデートして思わずキスを交わす。4月からも彼女と同じ大学。勉強を頑張った自分を褒めてあげたい。彼女の香りと柔らかい唇の感触が忘れられない。まさに幸せの絶頂だった。あの事故までは・・・。
数カ月後に再会した彼女は機械に囲まれた牢屋に監禁されていた。充電と整備をするためのクレイドルだけ置かれたコンクリートと鉄の檻。記憶も思考もディスプレイに晒されて、プログラムに絶対服従する彼女はロボットだった。
監視している会社の人の目を盗んで短いキスを交わした。フェンス越しのキスは冷たくて、新品のゴム製品の香りがした。
2024-06-09 02:02:07 +0000