邪眼症の少女

うーら
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ある王国では邪眼症と呼ばれるものに長きにわたって悩まされている。
邪眼症の起源はおおよそ200年前、石化の邪眼の力をふるい王国を恐怖に陥れていた凶悪な魔物メドゥーサが討伐された際、死の淵で放った呪いなのだと言われている。以来、この王国で生まれた女性は10~20歳の間に邪眼症を発症する可能性を得ることになった(邪眼症を発症するのが女性のみで男性が発症しないのはメドゥーサが女性型の魔物であったからだと推測されている)。

邪眼症を発症すると他者(人間だけでなく動物や魔物も含む)と視線を合わせただけでその相手を石化させる能力を得る。石化状態となった者は、6時間以内に高位魔術師の手で適切な処置を施されればほとんどは蘇生できる。しかし、6時間を超えると急激に蘇生率が下がり24時間を超えると蘇生は絶望的となる。また、6時間以内であっても蘇生に失敗したり重篤な後遺症が残るケースもある。このように、邪眼症の石化能力は恐ろしいものであるといえる。

この能力は本人の意思とは無関係に常に発現していて制御はできない非常に危険なものであり、かつてメドゥーサがふるった石化の邪眼と同質なものだといえる。邪眼症を発症するのは年に3~5人ほどであるが、過去の記録では一晩のうちに100人ほどが発症した例もありどういった要因が発症を誘発するのか解明はされていない。王国は邪眼症の対策にずっと取り組んでいるが200年がたった現在でも予防も治療もできないのが現状である。

邪眼症が確認されたごく初期の頃は、人々はメドゥーサの再来を恐れて発症者の目を抉り取ったり処刑をしたりと過激な反応を示した。しかし、王国はすぐにそういった行為を取り締まり発症者を迫害ではなく保護する方向に舵を切った。発症者に危害を加えていれば、彼女達は自身の身を護るために、また、自暴自棄になってその石化の力を使用するであろうことは容易に想像できたからだ。
現在でも発症者に危害を加えることはもちろん、憎しみを煽るような言動も処罰の対象となる。ただし、これは裏を返せば邪眼症、ひいてはメドゥーサへの恐れがいまなお根強いということも意味している。

現在、王国では邪眼症を発症する可能性のある10~20歳の女性に毎年検診を義務付けており邪眼症発症の予兆がないかを検査をしている。また、邪眼症を発症した際には速やかに申しでることが義務付けられている。申し出をした発症者は王国によって適切に保護されるが万一にも発症を隠したり逃亡したりすればその場合は重罪に問われることになる。

発症者は王国に保護されるとすぐに厳重なアイマスクを装着され一切の視界を封じられる。これはもちろん石化の邪眼を封じるためである。
アイマスクは厚く、ストラップで強固に固定された上で施錠されるので専用の鍵を使用しない限り取り外すことは不可能となる。
王国は発症者の視界を確保したまま邪眼の能力のみを封じる手段についてもずっと模索しているがいまだに有効な手立ては確立されていない。アイマスクの装着は発症者にとって多大な負担となるが周囲の人間の安全を確保するためには致し方ないのである。

王国に保護された発症者はアイマスクで視界を失った状態でも生活できるように半年ほど訓練を受ける。魔術を用いて目に頼らずとも周囲の状況を感知する訓練も含まれ、短時間ならおおよそ半径2メートルほどの空間の様子を認識できるようになる。
訓練期間を終えた発症者は王国の管理下にある施設に移されそこで仕事を与えられる。
発症者が一般の人々と交わる機会も設けられる。これは、発症者が邪悪な魔物の同類などではなく善良な心を持った人間だということを示すとともに、発症者は王国の保護下で健全に暮らしている、なので万一発症してしまっても恐れずに申告してほしいということのアピールでもある。

また、希望すれば家族との面会も行われる。
ただし、保護された発症者が再び元の市民生活に戻ることはない。発症者に対する一般市民からの迫害の危険、発症者が逃亡する可能性などが危惧されるためである。

邪眼症による石化能力は生涯消えることはない。
ゆえに、邪眼症発症者は王国に保護され両の瞳をアイマスクで封じられたその日から、残る人生を暗闇の中で過ごすことになる。


1~7枚目
単調で退屈な日々に陥らぬよう、発症者には施設内で仕事が与えられる。
仕事の一部には農作業や花壇の手入れなどが含まれる。
アイマスク装着による視界の喪失に不慣れな者には水撒きなど簡単な役目が割り当てられる。

8~9枚目
施設内の清掃は基本的に発症者達の手で行われる。
何も見えない状態での清掃は困難を極めるが、発症者同士の協力作業の場は親睦を深める良い機会にもなる。

10~12枚目
魔術の助けを借りて読書をする発症者の少女。読書は施設内における数少ない娯楽のひとつであり、空間認識の魔術を訓練する良いモチベーションともなる。

13~15枚目
キャンバスに向かって絵を描く発症者の少女。
瞳は閉ざされても心までは閉ざされない。描かれるそれは、彼女の心に映る世界なのだろうか。

16枚目
施設内の敷地を散歩する発症者の少女達。
発症者の保護施設は高い石の壁で囲まれており閉ざされた門には見張りの兵士が常に立つ。
限定されたわずかな機会を除いて、発症者と一般市民が交わることはない。

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2024-06-07 02:29:16 +0000