遅ればせながら、素敵企画様にお邪魔させていただきます。
企画元様:心の重さを知ル時ニ【illust/117465106】
(6/2:主催様承認済)
「掃除と洗濯得意です。料理も作れます。オイシイは解りませんが、五感は備え付けなので味覚で記憶した味は再現できます。読み書き計算と買い物もできます。言いつけ守ります。耳と鼻が利きます。走るのが速いです。……後は何が必要ですか」
「“フツウ”にはどうしたらなれますか。どの感情をもらったら、グレイもそうなれますか」
◇プロフィール◇
名前:ニビイロ
年齢:14(稼働年数) 外見年齢:17~18歳
性別:♀
一人称:グレイ(他、指示があればその通りに)
二人称:あなた(同上)
所属:黒煙大陸
身長:155cm
◇種族◇【Gy:Be(グレイ:ビー)】Give your Bless emotions
核となる魔鉱石及びヒトと獣の生体組織から生成される獣型ホムンクルスシリーズ。
稼働開始時点で人間換算で10歳児程度の外見と知能を持つ。
知識に関しては学習による向上が可能だが、肉体と感情の成育に関しては額の≪核 Give≫に他者から≪祝福 Bless≫(感情及び生命エネルギー)を与えてもらう必要がある。稼働可能年数は成育の有無に関わらず60~70年程。(詳細【novel/22306583】)
◇素敵なご縁を結んで頂きました!(2024.6.16)
♥浮遊 イヨミ様【illust/119109692】(所属:暴風大陸)
空が割れ始めていつかの頃、グレイの飼い主が消えた。
従う相手がいなくては、何をして生きればいいのかわからない。
新しい飼い主を得るか、独りで生きてきくための術を得るか。
どちらも黒煙大陸では成すことが叶わなかったが故に、ひとまずの新天地に暴風大陸を選んだ。
「【Gy:Be】シリーズに該当するホムンクルス、個体名はニビイロです」
「今から○ヶ月と×日前、グレイの飼い主が消えました。グレイは飼い主がいなければ成すべきことがわかりません。
暴風大陸へ渡ってきた理由は、グレイの新しい飼い主になってくれるヒトを探す――もしくは、“フツウ”になる方法を教えてもらうためです」
人脈も土地勘もない場所で飼い主を探すなら案内人が必要。
そう思い立ち依頼したガイドは、ヒトでないグレイ相手にも親切で気さくに接してくれる好青年だった。
「飼い主がいなくなったことに、感傷はありません。……というより、それらの感情がグレイにはわかりません。サビシイもカナシイも、教えられていないので。やはり“フツウ”になるためには、そういった感情が必要ですか?」
「あなたは、グレイに“フツウ”を教えてくれますか」
幾ばくかのやり取りの最中。
グレイからの問いに、彼は自身をフツウの枠には当てはまらないと答えた。
実年齢と見合わない若い外見。風に煽られ浮遊する体躯。
客観視すれば、そういう評価に至るプロセスは理解できる。
けれどそれは、彼が“フツウ”の枠組みを知っているからこそ辿り着く思考に他ならない。
爽やかで人好きのする笑顔と印象。親しみの持てる話し方や声色。こちらを気遣う仕種や態度。
何より、グレイの個体識別名を「素敵な名前」だと表し、出会ったばかりのグレイの境遇を憐れんでくれる彼の姿は、グレイにとっては確かに“フツウ”を知っているヒトに映った。
「グレイには、あなたは“フツウ”の善人に見えます。グレイはあなたからフツウを教えてもらいたいです」
そう返答すれば、彼はしばらくの逡巡の後、グレイの飼い主になってくれるという提案をくれた。
願ってもない申し出に、二つ返事で承諾の意を返す。
「オーナー……名前で?わかりました。よろしくお願いします、イヨミ。
……違和感がありますか?では、お兄さんと呼称します」
オーナー呼びはやんわり却下されたけれど、飼い主を得た事実に比ぶるべくもない些末なことだ。
*
「グレイは“フツウ”になりたいですが、グレイに祝福を与えるか否かはあなたが決めることです。祝福であなたに苦痛が生じたならば、与えなくともかまいません。グレイにとって重要なのは、あなたがグレイを要らないと思わないかどうかです」
「グレイに食事はいりません。あなたのためにしか料理をする必要がないのに、何故あなたの基準に合わせないのですか?お兄さんの考えがわかりません」
「なるほど。『コワイ』とは、こういう感覚なのですね。危機管理には大変重要な感情だと判断しました。ありがとうございます」
「『タノシイ』『ウレシイ』……。胸の辺りが、温かいような、むずむずするような。不思議で、でもどこか心地良いような……どうして笑っているんです?ああでも、あなたの笑顔がグレイに向けられていると、『嬉しい』ような、気がします」
「イヨミお兄さん、どうしました。……先ほどの強風でどこか打撲しましたか?痛むのなら見せてください。隠し事は嫌です。
ええと、あなたが『辛そう』だと、『不安』……いいえ、『心配』です」
「兄さん、見てください。露店で兄さんの髪色と同じ色のリボンを見つけたので、髪留め用に買ってみました。……似合うと思ってもらえたなら、嬉しいです」
「これが『美味しい』??とんでもないです、苦すぎます。絶対に体によくありません!全く、イヨミ兄さんがこんなに味音痴だったなんて、衝撃です。
……ふふっ。確かに、食事に関してはあなたを基準にしていたら大変なことになるところでした」
「ねえ、『お兄さん』。今の私は、あなたの隣に並んでも可笑しくないくらいには、フツウになれてますか?その場合、私たちの関係は、兄妹みたいに見えるんでしょうか。
……不満がある訳ではないんです。イヨミ兄さんの家族のように見てもらえるなら、私はとても嬉しいので」
「ごめんなさい。私、嘘を吐きました。本当は、『家族のような』存在では嫌です。あなたと、本当に家族になりたい。……あなたのことを、愛しているんです」
「私、イヨミといる時間が本当に好きです。 あなたが笑顔で傍にいてくれることが、何よりも幸せ」
*
グレイに“フツウ”を教えてくれるヒトならきっと、あなたでなくてもよかった。
だけど、あの日出会ったのがあなたでなければ、グレイは決して「私」にはなれなかった。
共に在ることの楽しさ。失うことの哀しみ。与えられずにいた憤り。
数えきれないくらいの≪祝福≫を与えてくれたあなたを、愛せることの喜び。
私に“フツウ”の幸せを教えてくれたイヨミのことを、誰よりも愛おしく思える“心”をくれた。
「イヨミ。私の家族になってくれたのが、あなたでよかった」
「大好きです。いつかこの躰が稼働を止める日が来ても、心はずっとイヨミを想います」
不備・問題などございましたら、お手数ですがご連絡お願い致します。
2024-06-02 08:45:30 +0000