いつもより騒がしい朝だった。
小鳥がとてもよく鳴いていたのが気になって、少しうとうとしながら体を起こしてふと目に入った、枕元に置かれた服。
自分が用意したわけではない、知らない服。
おもむろに服を手に取り広げると、パサリと一枚、紙が落ちた。
『よい冒険を!』
服を着るとほんのり胸が温かくなったのを感じた。
頑張って!と背中を押された、そんな感覚。
服を着たまま大きな鏡の前に立つ。
服を貰うなんて初めてで、はしゃぎながら鏡の前でくるりと回る。
服のサイズもデザインもぴったりで、私の為に作られたことは明白だった。
「リン!そろそろ出発だよ~」
いけない、みんなを待たせちゃってる。
急いで身支度を済ませて家の扉をくぐる前に一言。
「ありがとう、行ってくるね!!!」
姿は見えないけれど、きっと服の贈り主に届くと思った。
きっと私たちの冒険を見守ってくれている、そんな気がした。
『いってらっしゃい!仲間と一緒にいっぱい、い~~~っぱい世界を見てきてね!!』
―――――新時代の英雄からの贈り物
2024-05-26 13:17:31 +0000