重巡勇者熊野で巡るソーサリーの旅~シャムタンティ丘陵⑫

栗坊主

ダンパスの村を出て、午前中いっぱい丘の側面をぐるりと蛇行する道をたどる熊野。
昼近くに二つの分かれ道にたどり着く。片方は浅い谷に下りまた丘を登っていき、もう片方は二つの丘をつなぐロープと木でできたつり橋に続いていた。
思案の結果、つり橋のほうに歩を進める熊野。橋のそばには小屋があり、そこから背の曲がった醜い男が現れて熊野とつり橋の間に立ちはだかった。
「止まれ、よそ者。ここを通りたくばヴァンカスのふたつの問いに答えよ」
「はぁ?なんなんですの…?問いって…なぞなぞか何かかしら?」
うさん臭さを感じる熊野だが相手は肉体面こそ劣るものの魔法か何かを使うのか黒い目をギラギラさせている。
とりあえず男の問いに答える意志を伝えることにする熊野。
「よろしい。囚われの魔女、住んでいるのは森の中、悪知恵働くこの女、もし知っているなら答えてもらおうか。この女の名は?」
少し思案する熊野。
「森の中…?そういえば、自分の家の中で檻に閉じ込められてた変な女の人いましたわね…えっと…アリ…アリアンナ?だったかしら…?」
「正解であるぞ。では次の問いじゃ。ここに至るまでの三つの村、順番に答えよ」
次の問いに再び考え込む熊野。
「ええっと…たしか最初は…カントパーニ…次にボンバの実をもらったのが…クリスタタンティ…?今朝発った村がダンパス…でしたわね…」
不安げに答える熊野ににっこり微笑む男。
「正解じゃ。この橋を渡って進むが良い」
「あら…まさかの正解だったとはさすが熊野、記憶力は確かですわね…!」
男が道を譲ると、罠を警戒して足早に橋を渡る熊野。だが、男は罠どころか旅の安全を祈ってくれた上に旅先で役立つかもしれない助言まで背後で叫んでくれた。
「洞窟悪魔の迷宮は数多の罠ぞ待ち受ける メドゥーサの目にも劣らぬその破滅、左ならぬ道を行く運無き旅人迎え撃つ」
「…洞窟…?罠…破滅…左ならぬ道…?ある洞窟は左しか進んではいけない、ということかしら…?」
熊野は男が伝えた言葉を反芻しながら先を進むのだった。

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2024-05-19 00:40:39 +0000