ちょっと自慢させてください。笑
うん、これは結構自慢になると思うのです。
高校教師を定年退職した時、図書館から「捨てるからほしかったらどうぞ」と1970年代発行の日本文学全集全88巻をもらったんです。当時は文学全集が流行っていたんですよね。
字も小さいし、二段組だし、ちょっと今の読者には、特に高校生には読まれないということで。
その全集を、この4月に、なんと5年間かかって読破しました。
これでちょっとは日本文学を語る資格があるんじゃないかなって思います。笑
三月に、あと一冊ってなって、よーし春休み中に読み終えるぞーって頑張って最後の一冊に手をつけたら、そこにラスボスが待っていたのです。
イラストの埴谷雄高先生。作品は「死霊」(しれい) 笑
これ、日本文学で最も形而上学的で難解と言われる小説です。
何度も投げ出しそうになりました。でも、最後の一冊ですよ。ここで投げ出したら今までの苦労が、みたいな感じで石にかじりつくようにして読みました。
一言で言うと、米川正夫訳ドストエフスキーの日本版です。(分かりにくいですね 笑)
文体が米川正夫のドストエフスキー訳そのまま。そして小説の中で繰り広げられる議論は、「悪霊」の青年たちの繰り広げる議論のよう。ドストエフスキーでは、共産主義対キリスト教が議論の中心ですが、埴谷雄高さんのは、ニヒリズムが中心です。恐らくこのニヒリズムを乗り越える何かが提示される予定だったと思われるのですが、残念ながら(嬉しいことに?)未完で終わっています。
という訳で、日本文学全集、めでたく読了したのですけれど、はっきり言って全集を読む必要はない、というのが結論ですね。笑
漱石、鴎外、川端、太宰、三島、谷崎、永井荷風、芥川のような文庫本で今も残っている人たちのものを読めば十分です。これらの人々の作品はやはり傑出していますね。
これが言えるだけでも読んだ価値はあったかな。 笑
2024-05-13 04:29:32 +0000