【心知】セイレーネス=アリア【第1期】


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◆こちら【illust/117465106】の素敵な企画にお邪魔させて頂きます。よろしくお願いします!
(6/10)メッセージ拝受しました。ありがとうございました!

◆セイレーネス=アリア 女/18歳/純水大陸
『記憶守のセイレーン』という、記憶を水晶に閉じ込める魔法を扱う種族の女性。また『記憶守の里』の新しい長でもある。歴代里長の記憶を引き継いでいるため、それに引っ張られて見た目に合わない言動をすることもある。基本的には落ち着いた性格だが、悪戯好きな一面も。
湖の上で歌を歌ったり、道行く人に声をかけて過ごしている。毎日自分の記憶を水晶に刻むのが日課。

◆組織『記憶守の里』
純水大陸のとある湖の底にある、セイレーンが治める集落。水晶に記憶や知識を刻む『採譜の魔法』と、それを読み解き他者に与える『読唱の魔法』を使って、人々の記憶の保存・継承を行う役目を持つ。
p3にて詳細確認の上、企画内においてはご自由に取り扱いください。

◆素敵なご縁を頂きました。よろしくお願いいたします*
キディルさん【illust/118320002所属:純水大陸
「やあ久しぶりだね、キディル。なかなか立派な若者に育ったじゃないか。元気にしていたかい?」

数年ぶりに顔を合わせた愛弟子は、きょとんと呆けた顔で私を見ている。はは、困ってる困ってる。あまり意地悪をしてもなんなので、さっさと種明かしをしてやった。
きみの師匠であったセイレーネスは、私が記憶とともに継いだこと。よってセイレーネスとしての師弟関係は私に渡るため、きみが湖の底に向かって呼んでいた師匠というのは私のことだと。先代から伝えた私達の風習は彼の記憶にも残っていたらしく、その説明で状況はすぐ理解出来たようだ。
先代にも会いたいと言うので、そうだろうなと了承する。しかし立派なセイレーネスだった彼も歳には勝てず、今では湖の底から水面まで上がってくるだけの胆力も残っていない。

「先代は、そうだね…ここに連れてくるのは難しいから……連れて行ってあげよっか?」

***

以来、キディルは頻繁に湖を訪れるようになった。

「昔は危なっかしくて見てられなかったものだけど、私の教えが身になっているようで嬉しいよ」
と褒めてやると、可愛い弟子は嬉しそうに笑った。

「……そういえば、小さい頃は膝の上に乗せて魔法を教えていたな?久しぶりにやってやろうか?」
先代の記憶をふと思い出して言ってみると、穏やかに微笑んでいた顔に若干の焦りが見えた。はは、わかりやすい子。

「おやおや、キディルもお年頃かい。私がこんなに可憐な乙女になるくらいだからねぇ、月日が流れるのは早いものだよねぇ?」
キディルはきちんと私を師匠と認識しているようだが、壮年の男だった先代から自分より年下の私となると、すぐに上手い対応ができるわけもない。その隙をついて彼を揶揄うのは、私の楽しみの一つになっていた。

ただ、あまりに親しくしすぎただろうか。キディルの纏う空気に、他者の心を綻ばせるような柔らかさがあるのも、よくなかった。

「荷が重いこともあるさ。小娘の一存で、皆に苦労をかけさせるわけにはいかないからね…」
「…いや、今のは笑いどころだよ。セイレーネスは里で最も、知識も経験もあるのだからね!きみの師匠は中々すごい人なんだぞ」

ふと口にしてしまった言葉をすぐに取り消したが、キディルはそう簡単に誤魔化されてはくれなかった。
どうしたのかと尋ねられた。私はきちんと“師匠らしく”答えることができたはずだ。

「心配してくれてるのかい?優しいね。しかし弟子に頼るほど落ちぶれちゃいないぞ」
「まして里の者ではないきみの頭を悩ませるようなことじゃない」

***

私の中にある誰にも晒してはならない部分まで、受け入れてくれるのではないかなんて期待したくなかった。そう思わせるきみの優しさが憎らしい時さえあった。きみが時折私の顔を見て、何か言いたげに口籠る。それは私が未熟なせいだと思うと、嫌になるんだ。

「どうせ居なくなるくせに、きみに話して何になる!?」
「私はセイレーネスだぞ。もう先代もいなくなるのに、きみのようなフラフラした弟子に頼っていては、皆を不安にさせるだけじゃないか!」

感情のまま声を上げるのなんて、セイレーネスになってから初めてのことだった。ああ、本当に嫌になる!どうしてこの子の前では、こんなに上手くいかないんだ。

「……頼りにならないと思っているわけじゃないんだ。いや、そもそも…本当に、大丈夫なはずなんだ。私がやらなければならないことも、これまで先代達がやってきたことも、全部私が一番知っているのだから」
「それなのに不安になるんだ。きみの前では特にそうだ……私なんて本当は何も持っていない、ただの少女だと暴かれていくみたいで」

私は選ばれたセイレーネス。ただの少女では駄目なんだ……そんな弱さは誰にも見せてはいけないんだ。
と、ずっと、思っていた。

「…きみは、これからも帰ってきてくれるの?きみの理想の師匠ではない、一人の女がなんとか守っているだけの、そんなに特別じゃない里だけれど……そうだったらいいなって、“私”はずっと思っていたんだ」

本当は、“私”は――アリアというセイレーンの女は、そんなに特別な者ではないんだ。
きみはそんな私でも、それでいいと、言ってくれる?


全文→【novel/22288405

連盟関係は婚姻の他、師弟関係や協力関係なども可能です。素敵なご縁を相談させて頂けると嬉しいです。お相手様の条件について、性別や所属含め特にNGございません。
(同性愛も可能ですが、その場合次世代は実子ではなく、アリアの記憶を継承した者、などの形で対応します)

◆もしメッセージを頂くことがあれば、即日〜3日以内にお返しできる予定です。それ以上音沙汰ない場合は、不着の可能性があるため再送頂けると助かります。

◆素敵な背景素材お借りしました【illust/97805685
◆問題等ございましたら、お手数ですがメッセージ等からよろしくお願い致します。

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2024-05-02 08:26:17 +0000