☆☆☆☆☆ 一言でいうなら小指がそれを許さなかった
二人の邂逅は最大トーナメント、以蔵50歳、金竜山は現役の横綱のことであった。
老いたりともいえ血気盛んな以蔵が金竜山に遅れを取るということはない。
若い金竜山のバナナを揉んでやろうという気概は当然持っていた。
本書は『なぜ』の部分にスポットを当て、関係者たちの証言によって進められるドキュメンタリーである。
範馬刃牙、渋川剛気、花田純一、宮本武蔵、範馬勇次郎などへのインタビューによって官能的とも言われた寝技を駆使し『解説王の以蔵』と異名をとった柔術活動や、チャンピオン誌上で行われた論戦の顛末が詳細に浮かび上がる。
そこには若い金竜山に対する親愛の情や、これから花開かんとする相撲文化への期待が読み取れる。
『なぜ殺せなかったのか』ではなく『なぜこの二人が同じ時代を生きたのか』を書き起こした著者渾身の一冊である。
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2024-04-22 14:20:39 +0000