「助けて…。誰か……、誰か、いませんか…」
瓦礫の下から声が聞こえる。
今にも消えてしまいそうな、細くて弱くて、頼りない声。
きっと長くはもたないだろうと嫌でも分かる。
少し前を歩くサハラにもこの声は聞こえているんだろうけど。
「あのさ、サハラ」
「……ソノラ。おれ達が何をしに此処へ来ているか、それを間違えてはいけないよ」
「おまえさんはひとりに手を伸ばしたら、その隣にいるもうひとりにも手を伸ばさずにはいられやしないだろう。そうしてまたひとり、またひとりって見捨てられやしないんだ。
そうやって両手が塞がってみてごらん。おまえさんはもうきっと船には戻れなくなってしまうだろうね」
……サハラの言う通りだ。
なんでもかんでも、手を伸ばせるわけじゃない。
全部を助けられるわけじゃない。
どこかで線を引かないと、アタシはアタシの大事な仲間も居場所も、なにも守れなくなってしまうから。
アタシは小さく俯いて、か細い声に背を向ける。
俯いた視界で見えるサハラの足取りはしっかりとしていて、迷いが無くて、頼もしい。
──そして、ちょっとだけ、寂しい。
◇
サハラとソノラの2章ログインです。
戦場にて運び屋としての仕事をしています。
人命救助よりも仕事を優先して動いているため、依頼のかたちを取られない限り基本的に他者の救助は行いません。
章ボスである怪虫達に対しては必要に応じてサハラが応戦しているようです。
◇
サハラ【illust/115714635】
ソノラ【illust/115714662】
2024-04-21 09:35:29 +0000