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「ディパルア皇国に加勢せよ」とシャイコース様から賜った神託に従っていない自覚はあるが、かつて居た集落の人間と重ねてしまい、気づいたら奴隷扱いしている人間ばかりを仕留めては人間に囚われていた者を逃す。そんな調子でイザヴァン帝国の街中を当てもなく彷徨っていた。
家屋の崩壊が酷くなっている辺りをしばらく歩いていたが、人間の亡骸しか見ていない。王国か皇国か帝国か、見ただけでは所属は分からないがゴロゴロと。夥しい量の血の匂いとは別に、植物の匂いが微かに混ざっている。恐らく、自分と同じタイプの誰かがこの辺りの亡骸を作り上げたのだろうか。
状態が酷い亡骸ばかりなのもあるが、今回は皮を集めにきたわけではない。と、このまま立ち去ろうとした時だった。武装している本来の自分と似た種族の少年に話しかけられた。
少年の話を聞くと、この辺りの人間の亡骸を作り上げたのは俺だと疑っているようだ。
(この国に着いてからまだそんなに仕留めてないっすよ?!)
喉から出かかった言葉は少年に突きつけられた槍の切っ先によって止まった。
何故、自分では到底出来ない規模の殺戮をやってのけたと疑われているのか。うつむき掛けた時だった、自身の下腹部辺りが所々赤黒く染まっているのが目に入る。
(あ、やべ……)
最初に仕留めた辺りから集落にいた頃の事を思い出して頭がいっぱいになって、返り血を処理せずにずっと移動していた。
この辺りは死体と一緒に夥しい量の血が広がっている。似た匂いがするらしき生存者が血塗れでほっつき歩いていれば、疑わない方がおかしい状況だ。
槍を突きつけられてはいるが、すぐに刺さないのなら相手もこちらの出方を伺っているところか。
(…"今"は待機でお願いします)
目の前の少年をすぐに襲わないように、チラリと目配せで従者さん達に合図を出す。人間と行動を共にしていない同族との戦闘は出来るだけ避けたい。
「……俺はシャイコース様に仕える者。皇国の戦士でも、皇国の味方でもないっす」
嘘は言っていない。シャイコース様から『今回は皇国に加勢せよ』と神託を賜ったが、俺自身は皇国の戦士ではないし、今のところは皇国の人間を間違えて仕留めないように気をつけているだけ。
槍を突きつけられたまま、目の前の少年に隠し事を混ぜて、返答した。
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こちら【illust/117905200】にてお声がけいただいたのでご返答を(スライディング土下座
補足
・神託の内容【illust/117459065】(今回に限り皇国に加勢する)については黙っています。
・テリーは人間側に付いていないpkmン(所属問わず)には危害を加える気はありません。
襲い掛かってきた場合→退却目的で抵抗。従者さんも一緒に応戦。(カミナさんを【人間側に付いていない同族】と思いこんでいるため)
襲い掛からない場合→従者さん共々、この場から立ち去ります。
不都合等ございましたら、パラレル・スルー扱い、またはメッセージ等からご一報お願い致します。
お借りしました
カミナ・アマサキさん【illust/117021299】
お名前だけ
シャイコース様【illust/115708289】
疑われても致し方ない【illust/115898096】
2024-04-20 10:41:52 +0000