アネモネは戦闘が得意ではない。
隠密もそこまで自信があるわけではない。
そんな中で、誰かを守りながら逃げ回るというのは、あまりにも困難な話だ。
瓦礫に隠れて、周辺の様子を探る。
今回の戦場でもまた、異界の化け物が徘徊を始めた。
奴らは言葉を介さず、こちらを理不尽に殲滅しようとする。
……というのが、アネモネからみた異界の化け物に対する見解だ。
なんにせよ、あれらはアネモネの手に追えない存在であるのは間違いない。
ふと、おのれの腕の中にいる存在をチラリと見やる。
先ほど救出したこの幼子は、カタカタと震えて自信の衣服をぎゅ、と握っている。
当たり前だ。人間に虐げられていたところを解放されたと思ったら、今度は正体不明の化け物に襲われている。
「ゆきげしき」を使用すれば、「オーロラベール」を使ってすこしでも保険をかけることはできる。
けれど、傷つけられ弱ったこの子がその寒さに耐えられる保証はない。
さらに言えばこの乾燥した大地で雪が降るなんて、それこそ自分の居場所を教えているにも等しい。
___おのれの無力さに腹が立つ。
けれど、それを表に出すわけにはいかない。
表に出してしまっては、この子を不安にさせてしまう。
だから、笑って嘘をつく。
「大丈夫ですよ」
安心できるように、嘘をつく。
「絶対に、大丈夫です。安全な場所に避難しましょうね」
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アネモネは隠れながら戦闘を避けて解放した奴隷ともに避難を行います。
戦闘は避けますが、襲っていただいても大丈夫です!
2024-04-20 10:14:56 +0000