【魔法使いの約束】なんでもない日【オーエン】
「ばぁ!」
「うわっ!!?」
突然、オーエンが目の前に現れた。いたずらが成功したようでケラケラと笑っている。
「何してるの?賢者様。」
嬉しそうに笑いながら問いかけてくる。
「日頃からお世話になっている皆にお礼をあげたいとおもって」
「へぇ、何作ってるの?」
「クッキーだよ。味見してみる?」
「ふぅん、いいよ、味見してあげる。」
そういうとオーエンはまだオーブンから出したばかりの焼きたてのクッキーをひょいっと口へ含む。
「うぅん?あんまり甘くない。」
残念そうに首を傾げている。
「それはオーエン用じゃないからね、まだ作ってないけどオーエンのはシュガーたっぷりいれるつもりだよ。」
「手間をかけてるんだ。これ、全部もらうね」
そういうと返事を待たずに全部のクッキーを近くにあったボウルに入れる。
「ねぇ、生クリームない?」
「生クリームはつくればあるけど、何に使うの?」
「そんなの僕の勝手でしょ、さっさと作りなよ。甘々でよろしくね。」
本当にオーエンは我儘である。
「はい、生クリームどうぞ」
胸やけしそうな生クリームをボウルごとオーエンへ渡す。
「どうも」
そういうと鼻歌まじりにどこかへ行ってしまった。
「本当、わがままだな。また作り直しだ。」
折角作ったクッキーが跡形もなく無くなってしまったので、またつくり直す事になった。
2024-04-11 11:56:23 +0000