お台場の大型デパートでショッピング!
きらびやかな店内を、子どものようにはしゃぎまわる男女を見つけて、連れ立って追いかける先輩が二人。
「なーにやってんだ」
呆れた同期が声を掛けるも、二人の耳には届かない。
同じ階で、鬼気迫る戦いが繰り広げられている。
「マシュ警察よ! 今度こそ逃さないわ、ベリル・ガット!」
戦乙女にロックオンされた男は、悲鳴もあげずにひたすら全力で逃走を図る。けれど、文学少女の目からすれば勝敗は一目瞭然。
「さっさと捕まっておくことね。あら、項羽様からメッセージだわ!」
「これとか似合わないか? あれだ、叡智のけ──」
「それ以上はやめとけ」
男女と同じ階では、親友たちが本来の目的も忘れてメガネショップを物色している。片や微妙に似合わない丸メガネばかり試したがって、もうひとりは渋顔ながらもどこか楽しそうだ。
とある休日の一幕。
彼らの世界は、星がきらめくように輝いている。
***
はじめましての人ははじめまして。お久しぶりの人はお久しぶりです。こないだぶりの人はこないだぶり。普段は文字書いてる静希永音です。
奏章Ⅱ……イド……復讐者ぁ………………もう、むり、言葉に出来ない……
だって、だってさぁ、過去に囚われて今を焼く彼らが未来の象徴みたいなぐだたちと同じ道を歩むことができないのは本当にその通りなんだけどさぁ、もうちょっとこう、手心加えられなかったの……? 私別に、べつにアヴェンジャークラス推しってほどでもなかったのに、もうすっかり心に穴空いちゃったよ……?
ひどいよ……こんなのってないよ………
というわけで、エドモン・ダンテスを引いた。あ?LinkLost?ふざっけんじゃねぇ運命置いてくな。
というかイドを通過したぐだがイドモン呼べるようになってる件、駄々っ子ぐだがわりと大人しく引き下がったところも見るに(あとで何がなんでも召喚してやらぁ……)とか思ってたりしたんじゃないかと思うと、ぐだの諦めの悪さが良い意味で成長しててとても好きでした。いいぞ、もっと諦め悪くなれ。我儘言ってけ。本音はオベロン以外にも吐き出していけ。案外通せるから。
(4/2 追記)
────ふと、遠くで鐘が鳴った。
青年は、抱えた荷物の重みが失われていく感覚に、夢から醒めたような心地を抱く。
「……いや。文字通り、夢から醒めるのか」
制服は消え去って、耳には冷たいピアスの感触。
見上げた空は夕暮れではなく、いつかに仰いだ灰色の曇天。
夢のおしまい、目覚めの気配──現実の足音がまどろみを切り裂いて迫ってくる。拒むことなどできない、朝のひばり。
しんしんと降る雪が、頬を濡らしてとけていく。
最後に彼は、置き去りにする思い出を振り返った。
すでにそれは影となって、今にも崩れてしまいそう。けれど、凛として立つその姿は、氷よりも堅固で美しい。
「ありがとう」
吹雪の世界で出会った少女。
さっきまで、ほんとうの子どものようにはしゃいでいた、あたたかな雪の残滓。
「楽しかった」
この先、きっと苦しいことばっかりだ。
生き残るということは、置いていくということ。
けれど、同時に置き去りにされること。
たくさんの後悔がつのるだろう。数え切れないものを捨てていく。そのあとに、結局自分が残れるとも限らない。
……けれど。
『かわいいひと』
あぁ、それでも。
『なら、見送らなくちゃ』
この夢が、ぬくもりが、まだ青年の背を押している。
†
手を伸ばして、物言わぬ影にそっと触れてみた。
途端、それは霧のようにはらはらと崩れていく。
ひとり、曇天に取り残された青年は、歯を食いしばって、涙をこらえて、明日への短い旅路を歩き出す。
***
四月馬鹿の優しい嘘は、たぶん夢のかたちをとるんだと思います。悪役を買って出てくれた王様、楽しかったよ。ありがとう。
2024-04-01 14:03:14 +0000