「漫画の手帖」コラム「あびゅうきょ妄言通信」54号挿絵イラスト
●『ゴジラ×オッペンハイマー、王道楽土への道』ストーリー
終戦直後の混乱した講和前の日本。
1946年、太平洋上で行われたアメリカの核実験「クロスロード作戦」後、突如パラオ近海に現れたゴジラが旧南洋諸島を次々襲って日本の帝都に向かって北上。
米国大統領トルーマンはGHQの総撤退を命じるが、日本占領軍総司令官のマッカーサーは「ゴジラはソ連の開発した怪物兵器」と信じて疑わず、米軍が撤退すればソ連が日本を占領するのは確実。そんな事態は絶対に容認できぬと撤退命令を拒否、それどころかゴジラ撃退に核兵器を使用することを進言、トルーマンと対立する。
この混乱に乗じて隠遁中の旧陸軍中将石原莞爾が吉田茂内閣をクーデターで倒閣。マッカーサー黙認の下、自らを総帥とした対ゴジラ特務機関「王道楽土」を創設。
占領軍から極秘裏に旧海軍艦艇の指揮権を取り戻すことに成功。
シンガポールから回航した重巡高雄と核実験から生き残り、奇跡的に生還した戦艦長門を旗艦とする「王道連合艦隊」で接近するゴジラに挑む。
「皇国の興廃この一戦にあり。総員一層奮励努力せよ!」を表すZ旗を掲げ、駆逐艦「雪風」以下、旧海軍艦艇の果敢な水雷戦を展開、勇猛にゴジラに挑んだが結局は壊滅。
ゴジラは東京湾から上陸し、怪光線で帝都を再び焦土と化した。
このままではソ連に日本を乗っ取られると危惧したマッカーサーは極秘裏に石原莞爾に核兵器を一発譲渡。
これでゴジラを倒せと命じる。
マッカーサーからすれば米軍自ら核兵器を使えばトルーマン大統領に対する明確な反逆になるが、旧日本軍に使わせれば自らの手を汚さずに目的が達成できると画策したのだ。
かくして石原莞爾はゴジラに対して「王道菊水作戦」を発動。
重爆「富嶽」に米国の原爆を搭載し、厚木基地を発進。
ゴジラが口を開けた瞬間を狙って電波誘導で精密爆撃。
見事ゴジラは四散し、物語は大団円かと思えた。
しかし、その後、「原爆の父」オッペンハイマーから驚愕なる極秘情報が石原の耳に届く。
実はゴジラはアメリカの核実験で覚醒した怪物で、先の「王道菊水作戦」でもバラバラになっただけで更なる原爆の放射能で強化され、やがて蘇ると。
それを知った石原莞爾はゴジラを自らの著書『世界最終戦論』の依り代として再生させることを画策。
密かにオッペンハイマーと接触し、この無敵ゴジラを「調停者オーマ」の如く神格化させ、二人で全世界を王道楽土へと導く野望を説く。
オッペンハイマーも石原莞爾のこの革新的構想に歓喜し合意。
トルーマンが失脚し、マッカーサーが大統領となったアメリカでオッペンハイマーが主導する「ネオ・マンハッタン計画」が始まる。
再生覚醒したゴジラは更なる核爆発実験の放射能でリバイアサンと化し、遂に無敵の力を得る。
1950年、石原はオッペンハイマーと共に国連で「王道楽土覚醒計画GOZIRA」の発動を宣言。
ユーラシアアジアでは石原が、北米ではオッペンハイマーが総帥となってゴジラを平和調停者として、如何なる武力行使も許さない「神」として駆使。
調停者ゴジラによって東西冷戦は消滅。
ここに恒久平和が成就された。
終劇。
2024-03-27 18:53:20 +0000