少し早く朝起きたので、目を覚ますためにも散歩をしていた。
すると、何処からともなく好い匂いが漂ってきた。
朝は何も食べずに家を出たので、美味しそうな匂いに釣られて商店街までやって来た。
「こんな所にパン屋が在ったんだ。朝早いけど、お店としては開店してるみたいだし、何か買っていくか・・・」
ガラガラガラ、店の引き戸を開けて店内に入る。
「?!」お互いが顔を見合わせる。
お互いが発声しようとしたが、一瞬自分の方が早かったようだ。
「おはよう、アヤベさん?」
「・・・おはようございます?」
なんか変な挨拶になったなと思いつつ、
「ここのパン屋さん、アヤベさんの行きつけ?」
と聞いてみた。
「・・・そうね、行きつけと言えばそうかも。朝のランニング中にお店が有ってちょうど良いの。それに、此処のパンはどれもフワフワで美味しいのよ。」
「そうなんだ・・・。」
訝し気に彼女が自分の方を見ながら発言する。
「貴方はどうして此処に?」
「ああ、たまたま散歩してたら、好い匂いが漂ってきてね、匂いに誘われて来たって訳。」
「・・・そう。さっきも言ったけど、此処のパンはどれもお勧めできるわ。直ぐに食事を抜く貴方からすれば、サンドイッチ等良いんじゃないかしら。」
「そうだね、折角だから、2,3見繕って買ってくよ。アヤベさんお勧めならどれも美味しいだろうからね。」
2,3と思ったが、余りに好い匂いだったので、結構な量を買い込んでしまった。
もちろん、アヤベさんの分も一緒に買ってきたのは言うまでも無い。
2024-03-16 15:03:02 +0000