【神果て】ムウ【第3期】

れいに@鈍足
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素敵な企画様に2人目で参加させていただきます。
企画元様:オラクルリースの果てより【illust/111876852
※3/15…主催様承認済

5/21…メッセージ拝読いたしました!いつもありがとうございます!

◆名 前:ムウ ―Mou―
◆性 別:女性
◆年 齢:17歳
◆身 長:162cm
◆加 護:半重力
自身が素手で触れているモノに限り、重さを半減させることができる。
片手ごとに重さの半減が可能なため、両手で触れると重さは実質1/4になる。
◆所 属:森林
◆一人称:あたし、(ムウ)/二人称:きみ

◆種族【透翅】-Lejeclaire-
身体の一部に昆虫の特徴を持つ妖精種の亜人。
幼体の間は翅を持たず、15~20歳頃に羽化(=背に透ける翅が生え飛べるようになること)を経て成体となる。
体組成の密度が非常に小さく、躰が軽い。(体貌から推察される重量の1/5程度) そのため、小さな翅でも長距離・長時間の飛行が可能。
食性は雑食であるものの、顎の筋力が発達しておらず咬合力が著しく低い。硬いものや弾力の強いものを咀嚼することが難しいため、果実や種実の果汁、花の蜜を主食としている個体がほとんど。
同様の理由で大口を開けることや大声で喋ることを苦手としている者も多いが、その分表情や身振り手振りを用いての感情表現が豊か。
寿命は60~80年程度。大半が好奇心旺盛で楽観的―――平たく言えば危機管理意識が乏しい性質のため、種族における純血の個体数は非常に少ない。

◆素敵なご縁を結んでいただきました!('24.3.20)
♥️ガオシンさん【illust/117040219】(所属:山岳)

それは、いつものきままな空中散歩の最中だった。

ふいに鼻をくすぐった甘い香り。
視線を巡らせた先には、ふわふわの髪をした長身の青年。
手には、キラキラと光る棒付きの綺麗な何か。
それを道行く人々に勧める、耳慣れない話し方。
その全部に、興味が沸いた。

「きみの持ってるそれ、キラキラしてて素敵。それに甘くて良い匂い。綺麗だねぇ、誰が作ったもの?」

そう声をかければ、彼はにっこりと、それはそれは嬉しそうに笑った。

*
青年の名前はガオシンさん。きままな旅の行商人。
そんな自己紹介もそこそこに、さも当然の流れのごとく 彼は自身の弟さんが作っているというキャンディの紹介を始めた。
弟がどれほど凄いか、いかに可愛いか。器用で天才であるか。
熱心に語る彼の表情は、とても楽しそうで。
家族が大好きな良い人なんだなぁとほっこりした気持ちになる。
ムウがにこにこと相槌を打って話を聞く間、彼はたくさんのキャンディーやアイスケーキを振舞ってくれた。
初めて食べるその味や口どけにいたく感動して、「こんなに綺麗で美味しいものが作れる、きみときみの兄弟は天才!」と。
大興奮のまま感想を伝えたら、急に可愛いと褒められた上に抱きしめられ、少し驚いたけど。
きっと嬉しい気持ちをスキンシップで示すタイプなんだろう。
そう頭の中で納得して、ムウへの褒め言葉と美味しい甘味への感謝の気持ちを込めてぎゅーっとし返したら、何故か戸惑った反応を返された。
彼の流儀に習ったつもりだったのに何故…と首を傾げはしたものの、その後も彼との雑談は盛り上がり、距離が縮まるのに全く時間はかからなかった。

仲良くなった分、たくさん話をして、お互いのことを知った。
頻繁に連絡を取り合ったし、行商先の予定を教えてもらって落ち合って、新作ができたら振舞いあったりもした。
家族のこと、好きなもの、出掛けた先で見聞きしたもの。
一緒にいて楽しいガオさんのことを、ムウはあっという間に大好きになった。

ある日、彼の作るアイスとムウの特製ジュースを組み合わせたフロートを作ってみないかと、新商品の共同開発の提案があった。
素敵なお誘いに一二もなく頷いて、「任せて!」と胸を叩く。
そしたら、いつものようにぎゅーっとされた。

「ふふっ。ガオさんにぎゅーってされるの好き」

そう言って、ぎゅっとし返す。ガオさんはムウより大きな年上の男の人なのに、時々、何だか無性に可愛く見えてしまうから不思議。
最近なんて、ぎゅーっとされない日があったら物足りなくなるくらい。
……もしかして、ガオさんの愛でたい病が移っちゃってるかも?

まあ、ムウはガオさんみたいに、自分より小さいものみんなを「可愛い」とは思わないし、彼がムウ以外に可愛いと言っている姿をみるとヤキモチを焼いてしまうから、ゲンミツには多分違うだろうけど。
もしガオさんにムウより仲良しの人が出来ちゃったら、こんな風に頻繁にぎゅっとは出来なくなるかもしれないから。
大好きと思うひとの傍に居られる幸せな時間を、何よりも大切にしていたい。

「一緒にいられて楽しいね。あたし、この時間が一番好き」

*
ガオさんのことが好き。
そんな、ムウにとっては既に当たり前だったその感情に改めて名前が付いたのは、ガオさんから『新商品の試作』を渡されたときだった。

翠玉色のソーダの上に、滑らかなバニラアイス。
ムウを思って作ってくれたというそれを、美味しいと思ったなら……なんて彼にしては随分と歯切れの悪い言い回しに首を傾げる。

ガオさんのフロートは いつだって美味しい。それがムウのことを考えて作ってくれたならなおさら。
すごく嬉しくて幸せな気分だと告げるも、何故かガオさんは妙に慌て始めてしまい、一向に会話が噛み合わない。

ガオさんからのお願いを断ったりするはずないのに、伝わらないってどういう意味だろう。
望まれるならジュースでも何でもどこにでも作りに行くし、それが毎日会える理由になるなら嬉しい。
もしお味噌汁の方が良いって言うなら、がんばって作れるようになる。
あたしもガオさんに喜んでほしいし、幸せって思ってもらいたいから――。

『結婚してください!!はい!!返事は?!』

ガオさんの意を汲もうと必死に紡いでいたムウの言葉は、他でもないガオさんによる衝撃の告白によって遮られた。

結婚?ガオさんとムウが?
予想外の展開に、目を瞠ったのは一瞬。

……そっか、結婚したら、ずっと一緒にいられる。
ガオさんと―――大好きな人と。

それ、すっごく幸せ!

「っ嬉しい!したい!する!」

満面の笑みで返事して、ガオさんの胸元に飛び込んでいく。
あたしのガオさんへの好きは、自覚のないまま恋になり、そしてとっくに愛になっていたんだと。
自覚した途端留めてなんて置けなくて、いつもガオさんがムウにしてくれるみたいに、ぎゅーっと抱きしめて全身で愛を伝える。

「ガオさん、世界で一番大好き!」

溢れ出すまま口にした告白は、きっと自分至上一番大きな声だったと思う。

(最終編集:’24.3.24)

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2024-03-14 21:00:03 +0000