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今夜のお客さんはなんか変だ。
部屋には入ってきたが、ベッドの端でちょこんと座ったまま、私に手を出そうともしない。埒が明かないので、私が「脱ぎますよー」と全裸になっても、目線は壁の方向を向いたまま、私の方を向こうともしない。
マリア「⋯私、魅力無いですかねえ」
客「⋯」
マリア「せっかく脱ぎ脱ぎしましたよー」
客「⋯」
マリア「ここにおまんこもありますよー、おちんちん突っ込んでぐちゅぐちゅかき回してくださいよー」
おまたを広げて、まんすじを露出するが⋯反応無し。ここまで来てあんまりシャイすぎても、⋯まぁ元々身体の魅力はそのテの人にしか通用しないが⋯、自信は無くなってしまう。
マリア「⋯ごめんなさいね、私、魅力無くって。他の人に替えて貰えるか、聞いてみますよ」
そう言って、壁に据付の内線電話に手を掛けようとした時だった。
客「⋯いえ、ここに来たのは私の意思です。」
マリア「じゃあ、なんで手を出さないの」
半分不貞腐れてきた。全裸のまま、膝を抱えうずくまる。
客「⋯ユリアさん、私は不埒なことをするためにここに来たんじゃありません」
マリア「じゃあ、なんなんですか、勿体ぶらないで教えてくださいよぅ」
いい加減にして欲しい。お客さんに私の身体を弄んでもらうのが私の「お仕事」なのに。
客「えーと」
そう言うとやっとお兄さんはこっちを向いた。だいぶ顔が赤い、多分この人童貞だ。
客「『マリア・ホワイトリバー』さん、で、合ってますか?」
私の本当の名前だ。そこまでのおちゃらけた雰囲気はすっ飛んだ。
マリア「⋯ええ、そうですよ」
ここでの仕事も、もう終わりか⋯
客「私は、政府軍の役職をしている者です」
マリア「え?」
意味がわからない。私はお兄さんの方に身を乗り出した。
客「実は、今回のブラックリバー家とホワイトリバー家の抗争に、多額の裏金が流れていることが、諜報部の動きでわかりました。⋯まず、あなたがココにいることは、諜報部の一部の人間しか知らず、かつあなたは囚われ『いなくなったもの』としていることから、あなた『は』事件に関係は無いと思われます」
マリア「⋯」
客「また、『ホワイトリバー伯爵』殿は、たびたび政府の人間と情報交換をしており、地域の自警団的な働きや、職業紹介なども実施いただいていたことから、⋯あなたのお家も悪いことはしていないはずです」
マリア「⋯そのくらいは、私でも分かります。⋯ブラックリバーの関係者のおちんちんも、お口やおまんこでくわえたことありますし」
客「(赤面しながら咳をひとつ)そ、そこで、エージェントとしてのお仕事をお願いしたいのです、『マリア・ホワイトリバー』」
マリア「⋯エージェント?」
客「ここのマスターから聞いてませんか?『お仕事を手伝ってほしい』って」
マリア「⋯あ」
客「⋯そういう、ことです」
マスターが言っていた「お仕事」とはこういうことだったのだ。⋯つまり、「裏側からブラックリバーの悪事をバラす」ためのお手伝いが出来る、と。
客「今回の件、数年単位になるかと思います。まず、あなたは今まで通り、ここでの情報収集を進めてください」
マリア「わかりましたが⋯、ブラックリバーさんが利権奪い取ったってことは、地域に何か問題でもあるんですか?」
客「⋯戦争になるかもしれません」
マリア「は!?」
客「ブラックリバー家は、違法な治外法権を敷き、アフリカ系の方々を労働力として大量に流入させました。結果、地域の失業率はさらに増大し、衝突が絶えず⋯むしろ増えているんです」
マリア「何となく聞いてたけど⋯そんなに?」
客「ええ。オマケに、私設軍や軍備増強を進めているらしく、地域から政府中枢に乗り込む計画も上がっている、という諜報部からの情報です」
マリア「そんな⋯お父様が敷いた平和な街が⋯」
客「だからこそ食い止めたいんです。諜報部が取り切れない情報を、あなたのその⋯身体で、取ることが出来たら」
マリア「⋯わかり、ました」
客「些細なことで構いません、動きがあったら、マスター経由で結構です、教えてください」
マリア「具体的には、どういう?」
客「⋯主に、お金の事を聞いて欲しいです。労働者の方々がココを訪れるのであれば、それなりのお金が懐に入ると思います。そのタイミングと、諜報部が掴むであろうお金の動きが連動するならば、何処からお金が入るのかが分かるはずです。⋯労働者の皆さんには申し訳ないですが、今のままお金が流入し続けると、軍備増強、果ては内戦から戦争⋯それは避けたい」
マリア「お金のこと⋯それなら得意です」
客「頼みます、マリアさん」
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2024-03-09 12:45:57 +0000