禁域の穴蔵へ再度訪れるためには、情報を仕入れなければならない。
しかしゲゲ郎と手分けしてみるも、村民から有力な情報は得られなかった。
そこで水木は龍賀一族で数少ない友好的な少女――沙代さんを村外れの高台へ呼び出すことに。
「穴蔵、ですか……?
私、水木様に呼び出されて嬉しかったんですのよ。それなのに……」
質問を投げかけるや否や、おめかしした彼女は表情を分かりやすく曇らせた。
好意を利用している自覚があったため、水木は反応に遅れてしまう。
――沙代は一瞬で間合いを詰め、水木の胸倉を引っ掴んだ。
「なっ――!?」
彼女はその細腕からは想像もつかないような怪力で、そのまま水木の体をバルコニーの外へ宙づりにした。
十数メートルはある高台。
いま手放されたら、どんなに運が良くても全身複雑骨折、内臓破裂間違いなしだ。
「沙代さん、ど、どうか落ち着いて……!」
「禁域のことが知りたいならば、条件がございます。
――私を東京へ連れ出して下さい。それを約束してくださるなら、私が知る全てをお話しします」
「僕は只の勤め人です! 地位も財力も無い、貴女の望みを叶えることは……!」
「出来るかどうかではなく! 私と共に在りたいと思うかどうか! 私にとってそれだけが! 重要なのです!」
「喜んで東京へお連れします!!」
口答えした途端、宙で前後左右に激しく揺さぶられ、命の危険を感じた水木は咄嗟に約束してしまった……。
そんな二人の(命の)やりとりを、陰から見守っていた男が一人。
(しゅ、修羅場じゃ…!)
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あらゆる幸運を味方につけていた水木が、まさか一人の少女によって命の危機に晒されるとは思いませんでしたね。
初めて映画を見たときは「おいおいおい、マジですか沙代さん」とかのんびり構えていましたが、
いざ物語が進むと、何故こんなにも彼女が必死だったのか分かりしんどかったです。
それにしてもゲ謎は凄い。
100分と少しの長さで「恋する乙女を怒らせてはいけない」「人の気持ちを弄んだら4ぬ」など、
多くの大切なことを教えてくれますね。
3/14...1000ブクマ超え、ありがとうございます(`・ω・´)
2024-03-08 15:24:54 +0000