「窮地の時は我らが手を貸しますので呼んでください。ではご武運を!」
その巨体を翻して、【海獣】を名乗るトド/ゼルガは俺に背を向けた。
ゆうに2mを越える体、桃色がかった体色、背を向けたときに揺れた頭部のおさげ…。俺はそれに見覚えがある気がした。脳裏にチラついた残影を元に記憶を辿っていく。
「なぁ、あんた…。」
「?はい、どうされましたか。」
つい引き留めてしまった。精悍な彼女の眼差しが向けられる。そうだ、やはりこの目には見覚えがある。見上げた覚えがある。
俺の岩技を受けても怯まず、あろうことかそのまま突っ込んできたトドグ/ラーがいた。遠い昔の戦場だ。
「あんた…、コスターか。」
『戦場の怪獣』の二つ名を持つ、その兵士の名前を記憶の底から引きずり出した。
「…私を、ご存じでしたか…、どこかでお会いしましたか?」
だが、もう俺はディパルア皇国所属ではない。
目の前の樹海の炎上と食い止めるべく、共に水飛沫をあげる味方なのだ。
今更昔のことを蒸し返して並べ立てても、今はお互いに邪魔になるだけだ。
「…いや、前に名前を聞いたことがあってな。引き留めて悪かったな。」
…分かっていても、元々敵だった者の背中を見送るという事は、なんとも言えない気持ちになるもんだな、と俺は口元で少しだけ笑った。
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♥お借りしました♥
コスター提督さま【illust/116314820】
~ざっくりと流れ~
共同消火活動【novel/21714481】
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おかしなきのみの前にて【illust/116623827】
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煉獄の樹海【illust/116628253】
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【イマココ】
ラッジとコスターさんを、昔戦場での敵同士として認識させていただけるということで…!
ラッジのほうは思い出しましたが、今そのことは言うべきでないと判断してはぐらかしました。
ハトムギたちはちょっと離れた場所にいるようです。
ラッジたち【illust/115723152】
※パラレルスルー可です※
2024-03-06 14:17:00 +0000