バレンタインデーの当日。
トレーナー室にて、トーセンジョーダンは一人苦悩していた。
机に向かってああでもないこうでもないと苦悶の声をあげる。
その原因は、やはりというべきかバックの奥底に眠るものの仕業であった。
「アイツにどうやってチョコ渡そう………」
落ち着け、と自身に言い聞かせる。
去年のように「ゼロだとかわいそーだしやる」と、ジョーダンめかして言うべきか?
いや、今回のチョコはただのチョコではない。
ド級のチョコ、ド本命チョコだ。
それをジョーダンまじりに渡すのはすげーダサいし、直に自身の気持ちを伝えなければ鈍感なアイツには伝わらないだろう。
よしっ、決めた。
こうなったらドストレートに渡してやろう。
恋の駆け引きなんてバカなあたしには向いてないし。
そう決意を固めた途端、ガラガラと音を立てて扉が開く。
「ジョーダン、今日は早いな」
「あっ………た、たまたま早起きできただけだし」
「………?体調が悪いのか?顔が真っ赤だぞ」
「だ、だいじょうだし!と、いうか、ちょっとアンタに渡したいのがあるんだけど……」
言え。
「ハピバレ、トレーナー!これ、あたしの手作りチョコ。じっくり味わって食えし!」
「!ありがとう、後で食べさせてもらうよ」
言うんだ。
「それ………あたしの本命チョコだからさ。30倍くらいのお返し期待してっからね!」
「ははっ本命か。それなら盛大にお返ししないとな。期待していてくれ!」
ちがう。
おもいをつたえるってきめたじゃん。
「ま、本命ってのは勿論ジョーダンだけど!」
アタシのばか
2024-02-27 07:45:08 +0000