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おまえの願い通り、おまえの村を滅ぼした魔軍たちは…肉塊とも呼べぬほどに捻り潰してやったぞ。
嬉しいか?
うむ…
確かに…その通りだな。
魔軍を滅ぼしても、おまえの母親や父親、友達や村の者たちは戻ってこないな。
しかし人の娘よ。
それは仕方のないことだ。
魔軍たちにも魔軍たちの正義があり、魔軍たちはそれに従って動いている。
魔軍たちの正義において、おまえらの村や民は邪魔だったんだろう。
ワシはおまえの心のニオイに興味を持ち、おまえの願い通りにその魔軍を滅ぼした。
いわばおまえの気持ちにおいて、魔軍は邪魔だったということだな。
こうやって色々なモノたちが自分の基準で考え、そしてもがく。
世とはそういうもので、ワシはそれをずっと見てきた。
おまえが嫁に来てくれるというなら、こうやって「嫁の尻に敷かれて生きる」のもいいかもしれないな。
くはっはっはっは。
冗談だ、冗談。
おまえの人生はたかが数十年。
数十年などワシの人生にすれば瞬間だ。
おまえの心のニオイはとても心地が良い。
おまえは「私の人生の瞬間」のためにここにいてはいけない。
私の側にいるよりも、もっと、おまえにしか出来ないことがあるはずだ。
行け、人の子よ。
ワシもヒマにしておるから、必要になればまた訪ねてくればいい。
嫁の尻に敷かれる、いい経験をさせてもらった。
なに?
ストゥアラ?
それがおまえの名か?
良い名だな。
よかろう。ストゥアラ。
これからは名で呼ぼう。
山の守り神の命において、山の神と永久の時の加護がストゥアラに注がれ、ストゥアラを護り包むように!
2024-02-22 17:29:58 +0000