恋沼鉄道の起こりは文明開化の頃、雨の日に沼の泥しぶきに難渋している女学生に恋した沼河童のセイセイロクが、かつて命を助けた材木商、市川壮六を訪ね鉄道の敷設を頼んだ事に始まる。市川は自分には鉄道の事は分からないが、帝都の夜間学校の鉄道技術の講義に潜り込む事を提案し、またその衣食住の提供するという。しかし河童の姿では講義は受けられまいと、知り合いの土地の従二位の狐、八保の押火に人間変化の技を教えられ、一路帝都に向かう事になる。セイセイロクは苦学の末、講座で頭角を現し、それがお雇い外国人のヘンリー アーチボルドの目に留まり、本場英国で鉄道経営を学ばないか勧められ海路数か月ロンドンの地を踏む。色々あったが何とか学校を主席で卒業して、現地の鉄道会社で実地の鉄道運営を学び帰国したセイセイロクは留学時代に命を助けた政府官僚や実業家、技術者の協力を得て、政府の認可をもぎ取って、国家事業としての鉄道の敷設、経営権を得る。
2024-02-18 06:13:42 +0000