尾張春巻「にじ」は古代中国において龍の化身であるとされた。
内側に出る色の濃いにじを「虹」(こう)、
外側に出る色の薄いにじを「蜺」(げい)とよぶのである。
虹は雄の龍、蜺は雌の龍であるとされる。
龍は水の守り神。
すべての水あるところに龍は宿り、
水のかたちとともに、龍もまた姿を変える。
天から降った水は川となり、池となり、海となり、
霧となり、虹となり、暈となり、雲となり、やがてまた雨となる。
日によって様相を変えるその姿は、
しばしば吉凶を占う材料ともなった。
日本では五色に輝く瑞雲は、めでたいことの起こる兆候とされる。
瑞雲にもまた、龍の心は宿るだろう。
辰の年ともなれば、その霊験は殊更、多力となろう。
この一年、皆様の見る空が、幸多きものになりますように。
謹賀新年。
《慶雲元年（七〇四）五月甲午（乙酉朔十）》
○五月甲午。備前国献神馬。西樓上慶雲見。詔。大赦天下。改元為慶雲元年。
…(中略)
守正五位下猪名真人石前進位一階。初見慶雲人式部少丞従七位上小野朝臣馬養三階。並賜絁十疋。絲廿絇。布卅端。鍬卌口。
【五月甲午（十日）。備前国が神馬を献上した。西樓の上にめでたい雲があらわれた。詔して、天下に大赦をおこない、慶雲元年と改元した。】
(中略)
【初めにめでたい雲を発見した人、式部少丞従七位上小野朝臣馬養には位三階を進め、並びに絁（あしぎぬ）十疋、糸二十絇（く）、布三十端、鍬四十口を賜った。】
(『続日本紀』巻三慶雲元年条より)
(引用)
中央の「謹賀新年」の文字は
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2024-01-06 14:42:58 +0000