「ん~、うまくいかないな~」
同点になってからは一進一退が続いていた。こちらの得点元の榊さんが執拗にマークされ、なかなかボールを届けられない。相手の攻めもどうにか潰しているけど時間だけが過ぎていく。
後半も終盤に入り、敵陣でボールを受けとると榊さんを見る。
「やっぱりマークが厳しくて、パスをだせない····。あれ?」
榊さんが目線で何かを訴えてる?それになにか口も動いているような·····。ドリブルしながらじっと見る。
『狙って』
そう言ってくれてる気がした。
この試合2点取っている榊さんにマークが集中している今なら確かにいけるかもしれない。
私へのマークは手薄だし···。
息を吸い込むと相手ゴールへ向けドリブルして走り込む。
相手選手が慌てて前に詰めてくるけど、ちょっと遅い。
「いっ···けーーーっ!!」
ゴール片隅に狙いを定めると、左足でボールを蹴り抜いた。
2023-12-31 08:21:35 +0000