目隠し女学園への予行練習

聖剣の目隠し乙女
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目隠し女学園の校風に憧れる女子生徒は多く、入学のみならず編入希望も季節を問わず後を絶ちません。
私も編入に備えて自宅を目隠ししたまま生活できるように練習を始めました。
先ずは慣れ親しんだ私の部屋から…流石に日々過ごして体が覚えているだけあって、手を伸ばすと狙った場所に触る事が出来ます。
これでは練習にならず、面白くないので自室から廊下に出ます。
壁沿いに片手を壁に、もう片手を前方にかざして調度品を倒さない様に、ゆっくり慎重に壁の模様の感触を確かめながら進みます。
部屋と部屋の間隔はこんなに遠かったかしら…?
隣の部屋のドアになかなか辿り着く事が出来ず、気持ちが焦ってきました。
真っ直ぐな道を次の部屋まで移動する、たったそれだけの事なのに周りが見えない私は何処まで来たのか、あとどれ位歩けば辿り着くのか距離が分からず不安が募ります。
始める前は簡単だと思っていた壁伝いに歩く行為は想像以上に精神が疲労するみたいです。
廊下に一定間隔ごとに置かれている花器に触れて、ようやく私は隣の部屋を通り過ぎてしまった事を知りました。
普段壁を触っていなかった私は複雑な壁の装飾と重厚なドアの区別がつかず、ドアハンドルの高さの辺りを確かめていたつもりが位置を見誤り探り出せなかったのです。
次の部屋まで歩数を数えて行きましたが、一定距離を進むのに歩数がまちまちで歩幅を全くコントロール出来ていない事が分かります。
綺麗な立ち方、歩き方のレッスンで歩幅は常に一定を保っていましたが、今は仕方ありません。
先ずは見えない中を歩く感覚に慣れていかないと。
やがて手摺の装飾が階段に到着した事を知らせてきました。
階段の前に立つと編入に際して設置した指示床の感触が下り階段の存在を教えてくれます。
ここからは慎重にいかないと怪我をしてしまいます。
両手でしっかり手摺に摑まって最初の一歩……足を下ろしてから段に触れるまでが予想以上に遠く、どこまでも吸い込まれそうな錯覚に思わず手摺にしがみついてしまいます。
ようやくステップに足が触れて体勢を立て直して、段差の高さを一歩一歩確かめながらゆっくり確実に下りていきました。
階段を下りきると階段の終了を示す指示床と、一歩先に上り階段を知らせる指示床。
女学園での目隠し生活を行うには、まだまだ沢山の慣れが必要です。
練習を繰り返す為に私は階段を上っていくのでした。

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2023-12-13 11:55:34 +0000