これは神罰なのか?
それとも終末なのか?
あるいは予言されし黙示の世界なのか?
いずれにせよ、
今私の目の前に映っているのは、
まさに紅蓮の世界以外の何物でもない。
それは正に、私が手にしている聖書に示された、
悪徳の街ソドムとゴモラの末路か、
あるいはヨハネの黙示録に示された、
ハルマゲドンの世界そのものだった。
全ての物が、天からの無数の雷により、
巻き上げられ、地上へと叩き落とされ、
また地上も、天からの閃光により、
全てが焼き払われ、爆破し、
紅蓮の焔を上げた。
そして、天空に鎮座するのは、
黄金とも、灼熱とも付かない
太陽のごとき輝きを放つ
三つ首の異様な獣だった。
あれは、黙示録に示された赤い竜なのか?
それとも黙示録の獣なのか?
もしかすれば、主であるヤハウェが使わした
智天使ウリエルの使い、あるいはその化身なのか?
いずれも、主にお仕えする一神父に過ぎない
この私の頭脳では到底理解出来かねる。
だが、私の心は
この終焉を拒んでいる。
この惨状を受け入れずにいる。
地上で焼き払われているのは、
何ら咎を犯してはいない人間ばかり、
彼らが何をしたと言うのか?
彼らが何ゆえに天の火に焼かれねばならないのか?
一体彼らがこれ程の仕打ちを受ける程の
何をしたと言うのか?
これがもし、神罰と言うのならば、
余りにも無慈悲で理不尽で、
救いがなさすぎる。
ああ、主よ。
もしこれが、彼のソドムとゴモラの再演ならば、
何故私の体を塩に変えて下さらないのです?
嘗てロトの妻は、天の火に焼かれし
彼の悪徳の街を振り返ったばかりに、
その体を塩に変えられたと聞きます。
もし目の前の終焉が、彼の街と同じならば、
この光景を見た私は塩になっても良いはず。
私にはもう、この紅蓮の焔と、
それに焼かれし街を見るに忍びない。
こんな世界の終焉を見たくはない。
出来る事なら、私も塩になって朽ち果てたい。
なのに何故、私にこの終焉を見せるのです?
何故私に、生きながらにこの凄惨な終焉を見せるのです?
何故私に、こんな惨状を見届けさせるのです?
この紅蓮の終焉を。
主よ、どうかお教え下さい…。
一体、何故………。
2023-12-05 11:41:59 +0000