聖剣の目隠し乙女天使と呼ばれる謎に満ちた有翼の種族が存在する。
太古の昔、エルフが誕生する以前から生き続けていると云われ、その寿命には限りがないとされる。
天使は全て女性であり、すべからく美しく、永遠に少女の様な美しさを保ち続ける。
性格は善良で慈愛に満ち、およそ悪意というものを持たない。
清浄なその身は餓えや病とは無縁であり、汚れるという事が無い。
癒しの力を始めとした奇跡を宿し、困難に直面した人々の助けとなる事に無上の喜びを覚える。
彼女たちは皆、目隠しを着け決して外す事が無い。
あまねく人々の見えざる声を聴き、救いをもたらす為に常に瞑目し心を研ぎ澄ませるのだという。
音楽を好み、森や湖畔でハープを始めとした楽器を奏でる姿が目撃されている。
天使にまつわる逸話は各地に残り、傷や病を癒し、枯れた大地に実りをもたらす話が多い。
中には、天使と恋に陥る伝承、ある話は悲恋に終わり、またある言い伝えには天使との間に子供をもうけたという。
しかしながら、天使がいかにして生まれ、どのように子孫を増やすのかは定かではない。
天使に出会った者には幸運が訪れると言われ、人々の前に姿を現す時には敬意をもって歓迎される。
人間の傷を癒す一方で、天使は癒しの力で自身の怪我を治す事が出来ない。
永き時を生きる間に片翼あるいは翼を無くし、飛ぶ能力を失った天使達がいる。
天使の高貴な姿を前にした時、人は邪心を忘れ清い心を取り戻すという。
しかし、飽くなき欲望の果てに幸運をもたらす永遠に美しい天使を捉え、我が物とした領主。
翼を折られた天使を娼館で見かけたという噂もまた、真しやかに囁かれている。
2023-11-28 09:34:07 +0000