うちの女学園ではある恋愛物語が大流行している。
眼を怪我した盲目状態のヒロインの元に詩が届けられる。
親友に朗読してもらうその内容は時に励まし、ある時は愉快に、またある時は情熱な愛を謳う詩だった。
やがてヒロインは詩の送り主に恋心を抱き、顔も名前も知らないまま詩の送り主と逢瀬を重ねる様になる。
そんなドラマに影響された娘が意中の女子にラブレターと共にリボンやアイマスクを送り付け、OKの場合は指定した日時にラブレターを受け取った女子が贈られた品で目隠しをして待っている事でカップル成立となるものだ。
今、この女学園では恋愛ドラマみたいな恋をしたい少女達が大ヒット中の作品を真似た目隠し女子のカップルが至る所で見られる。
私もドラマみたいな恋愛には憧れるし原作小説も読んでいるけど、目隠しされたまま手を引かれている娘達は本当に楽しいのかしら?
疑問に思いながら、女子寮のポストを開く。
そこには可愛らしい封筒と共に、綺麗にラッピングされた包みが。
私は逸る胸を押さえながら、自室に急いだ。
封筒の中身はラブレターで、そこには情熱的な恋の詩が綴られていた。
ラッピングの中には、縁にフリルをあしらったピンクの可愛らしいアイマスク。
両端からはレースのリボンが広がっている。
顔に当てると仄かに白檀の香り。
知らず、リボンを頭の後ろに回し、結い留めていた。
漆黒のヴェールの向こうに手紙の送り主を想うと胸が熱くドキドキしてくる。
手紙の終わりは、
「今夜10時に貴女の部屋に伺います。
部屋の鍵を開け、同封のアイマスクを着けて待っていて下さい。」
と締めくくられていた。
私は高鳴る胸を押さえ、夜の訪れを待つのだった。
2023-11-27 10:21:23 +0000