彼女視点の物語novel/21127980
次illust/113725296
「えっと…__君、だよね?目隠しして待つの、すっごく緊張しちゃった。
近くに誰がいるか全然分からないんだもん。
でも、これで1度行った場所でも初めての気分でドキドキしながらデートできるね💕
案内、よろしくね💖」
笑顔で差し出す手を取り、腕を組んで彼女の歩調に合わせてゆっくりと歩きだす。
—今度のデート、一日目隠ししたままで付き合ってほしい—
そんな無茶なお願い嫌な顔一つせず、二つ返事で引き受けてくれた自慢の彼女。
そんな彼女が楽しんでくれる様に、今日は執事になった心算でいつも以上に頑張ろう❕❕
お姫様、どうぞこちらに。
右手に面した川にはゴンドラが行き交い、左側は赤レンガの商店が軒を連ねております。
通りを抜けて、左に曲がると、サックスの生演奏が行われるカフェに到着致します。
ごゆるりとお楽しみくださいませ。
「ここ、金木犀が咲いてる! ほら、左上の方を見上げて見て? オレンジ色の細かい花が咲いているでしょ?
秋の花のはずなのに、品種改良しているのかしら?」
花、詳しいんだね。…精進します。
「雲雀の声!雛の鳴き声も聴こえるよ。可愛い💕 この橋の下に巣があるみたい。 右下の方なんだけど、どう?見える?」
雛の鳴き声なんて全く聞こえない。
彼女は耳も鼻も僕より遥かに研ぎ澄まされているらしい。
「この香り!
メインストリートから左の脇道に入って、少し進んだ所にミルフィーユとハーブティーが美味しいお店があるの。
早くいきましょ💕」
おかしい。
彼女をエスコートするはずが、いつの間にかリードされている…。
「ねえ、次はランジェリーショップに連れて行って💖」
目隠しした彼女を連れてランジェリーショップに足を踏み入れる光景を想像して…僕は凍り付いた。
2023-11-26 05:19:20 +0000