ニャンコ先生§斑§ピカチュウ『いやぁ、すまんな…宿まで提供して貰えるとは』
白龍『…勘違いするな…ヒバニーの頼みだから《仕方なく》提供してやるだけだ…貴様の為じゃない』
ピカチュウ『…て、手厳しいな…アンタは俺がそんなに嫌いなのか？』
白龍『…知りたいか？』
ピカチュウ『…いや、やはり…遠慮しておこう』
白龍『…フンッ』
ピカチュウ『(…こ、これは…紳士として…話題を変えて場を和ませなくては…)』
ピカチュウ『お、俺の部屋という事はだ…俺に相応しい《知的でクール》な部屋なんだよな？』
白龍『…そうだな…貴様に相応しい部屋だ…ある意味でな』
ピカチュウ『…何やら意味深だな…どんな部屋なんだ？』
白龍『地下の牢獄だ…どうだ？…知的でクールだろう？正に、貴様にお似合いだ』
ピカチュウ『ろ、牢獄だって!?ちょ、ちょっと待ってくれ!!俺は名探偵だ!!牢獄なんて相応しくないッ!!』
白龍『安心しろ…牢獄と言っても、トイレ・シャワールーム…簡易ベット…必要最低限の生活用具は揃っている…飯も朝晩くらいは持って行ってやる』
ピカチュウ『…そ、そういう話をしている訳じゃ』
白龍『…着いたぞ…ここが今日から貴様の部屋になる場所だ』
ピカチュウ『…ふ、普通の部屋だな…牢獄では…ないのか？』
白龍『…牢獄の方が良かったか？』
ピカチュウ『…と、とんでもないッ!!…感謝する』
白龍『…おっと…貴様に伝え忘れる所だった…命が惜しく無かったら１人では迂闊に屋敷の外には出るなよ？』
ピカチュウ『…この土地は、そんなに治安が悪い場所なのか？』
白龍『この土地に問題はない…私が言っているのは屋敷から出るなという事だ…貴様も、その身を持って知っているだろう？屋敷内から一歩でも出れば…忽ち、警備ロボの餌食だ』
ピカチュウ『…おいおい…今日から俺も屋敷の《関係者》だろう？』
白龍『言っておくが、私は貴様を認めた訳じゃない…どうしても探索をしたいというのであれば、他の者を同行させる事だ』
ピカチュウ『…肝に銘じておこう』
白龍『賢明な判断だ』
《翌日》
ヒバニー
『ピカさん…部屋にいるかな？やっぱ、一緒に住んでるんだし…ちゃんと挨拶くらいしないと…』
『(…ん？なんか、こっちの方からイイ匂いがする…ピカさんの部屋から…かな？)』
(…トントン)
ヒバニー『…ピカさん、いますかぁ？』
ピカチュウ『ん？その声は、ヒバニーか？鍵は開いているぞ』
ヒバニー『おはようございます…ピカさん』
ピカチュウ『おはよう、ヒバニー』
ヒバニー『あれ？ピカさん…コーヒー飲んでるんですか？』
ピカチュウ『あぁ、朝は目覚めにブラックコーヒー…これが、俺のルーティンだからな』
ヒバニー『《るーてぃん》って？』
ピカチュウ『《習慣》という意味だ』
ヒバニー『ふーん…でも、そんな事より…何処から持って来たの？その、コーヒーメーカー…キッチンから勝手に持って来たら、またハクにぃに怒られちまうぞ？』
ピカチュウ『これは、俺の私物だ』
ヒバニー『…私物って…そんな大きな物なんか持って無かったじゃん』
ピカチュウ『ん？何だ…オマエ、コイツを知らんのか？』
ヒバニー『…ただのバッグじゃん…そんな小さいバッグに入る訳ないだろッ!!子供だと思ってバカにすんなッ!!』
ピカチュウ『どうやら…本当に知らないみたいだな…アカデミーでも支給されている筈だが？』
ヒバニー『…』
ピカチュウ『…どうした？』
ヒバニー『俺…学校行った事ねぇから…』
ピカチュウ『…そ、そうなのか？…すまん』
ヒバニー『何で…謝んの？』
ピカチュウ『…い、いや…それは…』
ヒバニー『そんな事よりさ、ホントにそんな小さいバッグからコーヒーメーカー出したの？他に何か持ってたりする？』
ピカチュウ『あ、あぁ…旅をするに当たって必要な物は大抵な』
ヒバニー『マジ？出して見てよ♪俺、見てみたいッ☆』
ピカチュウ『そのくらいなら、お易い御用だ♪』
ヒバニー『す、スゲー!!ホント、何でも入んだな♪魔法みてぇ☆』
ピカチュウ『魔法とは…子供らしい、なかなか夢のあるイイ発想だな』
ヒバニー『…どうせ、ガキだよ』
ピカチュウ『別にバカにしている訳じゃないぞ？…そうだ、コイツをオマエにやろう…《お近づきの印》というヤツだ☆』
ヒバニー『サンドイッチ!!俺、大好物なんだ♪美味そう…ホントに貰っていいの？』
ピカチュウ『あぁ』
ヒバニー『ありがとう、ピカさん♪…あ、そうだ…ピカさん』
ピカチュウ『…ん？何だ？』
ヒバニー『…その…改めて、よろしく♪』
ピカチュウ『あぁ、よろしくな、ヒバニー』
ヒバニー『へへっ☆』
～End～
こうして、白龍家の一員になった《ピカさん》＿。
また、一層騒がしくなる《妖怪の里》なのでした＿。
2023-10-10 17:42:07 +0000