「明治開化安吾捕物 乞食男爵/坂口安吾」朗読youtube用に描いたもの。
日本橋のチヂミ屋という呉服問屋の当主、久五郎(二十八)は
先代が死んでようやく四十九日がすぎたばかりというときに、
妻の政子(二十一)の父親の小沼男爵から、坂巻多門という生糸商人を紹介され、
さらにペルメルという外国の生糸商人を紹介され取引をすることに決める。
しかし、ペルメルは生糸商人泣かせの札つきの悪者だった。
あるいは多門もペルメルと組んでいたのではないかと考えられたが、久五郎は破産に追い込まれる。
妻とは離縁となったが、元妻・政子とその父・小沼男爵、兄の周信による慰謝料請求と家宅捜索が続く。
芝の寮に移り住んだ久五郎と妹・小花、兄の元妻の実家の者たちの横暴に小花は激怒するが、
当の久五郎は、女中のハマ子と良い仲になってしまうという気楽さ。
そんな中、小花が失踪し、さらに周信も行方不明となるがーー。
ところで、お話冒頭の
「この事件をお話しするには、大きな石がなぜ動いたか、ということから語らなければなりません。」とは?
さてさて、このお話もイラストにするのに悩むところがいっぱい。
まず、冒頭の「女相撲」って何よ? から検索などしてみたところ、
実際にこの頃、女相撲の興行団みたいなのがあったようですね。
お話の中の女相撲も山形発祥となっているけれども、
実際も山形県発祥のところが多かったみたい。
冒頭の女相撲の話も面白かったんだけど、
チヂミ屋の話に本筋が移ると、女相撲のことをちょっと忘れちゃうくらい
チヂミ屋の事情にのめり込んで読んじゃうから、やっぱりすごい面白いんでしょうねー。
久五郎が騙される生糸の取引の場面なども
音で聴くだけではわかりにくそうなのでいろいろ図にしてみたりとか。
周信失踪の前後の出来事をカレンダー風にしてみたりとか。
いやしかし、読めば読むほど
「乞食男爵」という言葉の意味と言いますか、
安吾先生が「安吾捕物」を書いたのが(「安吾捕物」が「小説新潮」に載ったのが)昭和25年から27年、
華族制度が廃止されたのが、昭和22年。ということを考えると、
この頃の爵位や華族や身分の制度ってよくわからないけど
実際にこういう境遇の人たちはいたかもしれないなあ、とかいろいろ考えさせられるお話でありました。
そもそも小沼男爵家は江戸時代からの貧乏大名で家臣からの人望も薄いのだけど…。
さて、今回は新十郎以外のレギュラー陣は出てこない。
のでサムネイルのバージョン違いにみんな描いてみたりしました。
[youtube「乞食男爵」朗読〕→ https://youtu.be/lzQD8gNKxoA?si=Dwoh8anIfgIHTIiw
[ブログ「乞食男爵」①~〕→ https://ameblo.jp/hagi-yuzuki/entry-12748560830.html
2023-10-10 13:49:19 +0000