カラス・アテーナー(ナナ)

てんのこえDX

都市化された街から離れた小さな田舎町。
人通りも少なく車もあまり通らない町の片隅にひっそりと建つ神社がある。
年に数回、住人たちで祭りごとをする程度の些細な神社だが近年可愛い巫女さんがいると
SNSで話題になり町を訪れる観光客が増えてきているのだ。
しかしこの町は山の中にあるため野生動物が頻繁に顔を出す。
特にこの時期は熊の出没が多く観光に訪れた者が襲われる事故が多発していた。

そこで、神社の巫女でありマスターでもある眞知弧に頼まれてナナは森に来ていた。
人の味を覚え凶暴になった熊は体長3Mを超えるという。
あまりにも巨大なうえに知能も高く罠なども破壊してしまう、地元の猟友会では歯が立たず
神社への神頼みとなった。
そこでミミとナナの二人で討伐を、との流れになったがナナはこれを一人で受けた。
こうして、今、ナナは一人で凶暴な熊を駆除するため森にやってきたのだった。

「・・・・・いる」
川の流れる音と共に枝が折れる音と獣の呼吸音、そして血の匂い。
向こうは確実にこちらを捉えている。
一気に飛びかかってくるか。このまま様子を見るか。

パキッ

枝を踏み折る音と共に何かがナナに飛んできた。
回転して飛んでくるそれを手で受け止める。
その瞬間、ナナの顔に血が飛び散った。

「これは!!?」

人の腕・・・。
食いちぎられた子供のものだった。
深い悲しみがナナを包み込む。
間髪入れずに巨大な黒い塊がナナに襲い掛かってきた!
黒い塊はその巨大な剛腕をナナ目掛けて振り下ろす!
するとナナは避けようともせずその巨大な凶器を小さな細い左腕一本で止める。
凄まじい破壊力だったがナナは動じることなく熊に対して肩から強烈にぶちかましをぶつける!
小さな少女のぶちかましにも関わらず、巨大な熊は木々をなぎ倒し後方へ吹き飛ばされてしまった。
低いうめき声をあげる熊だったがゆっくりと立ち上がりナナを見る。
その瞳は先ほどまでの狂気に満ちた目ではなく、とても穏やかなものだった。
そしてその瞳が見つめるナナは、泣いていた。

「ごめんなさい・・・」

大粒の涙を流し熊に謝罪をする。
それを見た熊は何かを悟ったのか凄まじい雄叫びを上げナナに突進してくる!
真っ直ぐ一直線にナナ目掛けて襲い掛かる!
それに対しナナは脚を踏ん張り一撃必殺の構えをとる!

ガタガタガタ

「ん?地震?」
神社の居間で呑気にスマホを弄っていた巫女の眞知弧は慣れた手つきでスマホから地震情報を探る。
「違うね」
白い制服を着たミミがすぐにそれを否定する。
「でもこんな揺れ、地震以外考えられ・・・」
そこまで言うとナナの事を思い出し言葉を飲み込む。
「ナナがあの子をやったんだよ・・・」
ミミは少し寂しそうな顔をして俯いた。
「そっか・・・。仲良しだったもんね・・・」

翌日、巨大熊討伐の話題が地元の間で広まったが
観光客はめっきり訪れなくなったという・・・。

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2023-10-09 08:52:21 +0000