「…はあ?何だよ、それ」思わず呟いた一言がこぼれ落ちた。考える間もなく両腕が動き、夢中で掴みかかっていた。この世で一番会いたかった相手に。誰よりも一番大切な、たった一人の相手に。
「いきなり説教かよ!兄貴に会いたくて星になったのに…やっと会えたのに…喜んでくれると、思ったのに…」
その先は涙で声にならない。嬉しい。めっちゃ嬉しい。でも、マジでムカつく。喜びと怒りがごちゃ混ぜで、自分でもどうする事もできない。
掴みかかったままで俯いた時だった。
「…ったく、お前は昔から泣き虫だな」頭の上で声がした。「泣き虫だし、思ったら後先考えず突っ走るし。お前にはいつも振り回されっぱなしだ」笑いを含んだ声が潤んでいる。「…でも、また会えて嬉しい。ありがとう、俺を探してくれて。俺に会いに来てくれて」
温かい手と優しい笑顔。兄貴だ。しばらくは涙が流れるままに任せた。そしていつしか時が過ぎて涙が乾いた頃、兄貴が声をかけてきた。
「行くか」 「どこへ?」「俺達が共に輝ける場所へ」「そっか…俺達、星になったんだっけ」「これからはずっと一緒だ、俺達は」「ああ」
こうしてまた、新しい星が生まれた。地上で別たれた二つの命達は、永遠の絆を願って輝き続ける。年に一度、二人の方向から流れ落ちる星達は、再会を喜ぶ彼らの涙なのかもしれない…。
双子座の神話をもとにキャラとストーリーを考えて描いた、記念すべき第一作目です。去年の11月に描き、冬テーマのイラストコンテストに応募した作品です。潤んだ目や泣き顔、背景を丁寧に描きました。
彼らはここからスタートしました。このキャラでかなり描きためていますので、これからも少しずつ投稿していきたいと思います☺️
2023-10-05 00:02:25 +0000