よく大量発生するやつ

淡水
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クスサン〔Rinaca japonica〕
ヤママユガ科の仲間で、ギョッとするような大きさの蛾。
よくよく観察してみると、大きく円らな瞳と全身もふもふの毛で覆われていて、結構かわいい。
ウサギやらハムスターやらと比べても負けず劣らずのもふもふ具合である。

しかし実際に触ってみると、胸部はごつごつしている。
このあたりはやはり節足動物だなと感じる感触で、もふもふを期待していると、これじゃない感が強い。
腹部はぷにぷにしている。外骨格はどこかに捨ててきたらしい。

全身を覆っている毛の触感は、ふさふさというよりはつるつるであり、よく滑る。
これはおそらく天敵の鳥類から身を守るためのものだと思われる。
啄ばまれても、つるっと滑って逃げ出すことができるって寸法だ。
なお実際はそう上手くはいかないようであり、朝になると翅だけになった無残な残骸と化している。

後翅には大きな目玉模様があり、身の危険を感じると後翅をばっと広げて威嚇する。
しかし威嚇したところで逃げ切れるわけではない。
この大型の蛾は、いきなり飛ぶことはできず、飛び立つ前に胸部の筋肉をぶるぶる震わせて翅のアイドリングをする必要がある。
なお、緊急時は上記手順を省略して飛ぶことが出来るようだが、その姿は飛んでいるというよりは、ジタバタともがいているようで、当然短距離しか移動ができない。

結局、彼らの最大の強みはその数ということになり、毎年の大量発生も様々な条件が重なった結果とはいえ、クスサンなりの生存戦略なのである。
簡単につかまってしまうなら、天敵が食べきれないくらい繁殖しちゃえばいいじゃん、という考え。

以上、自分なりにこの生き物を観察して得た所見です。

#traditional#pencil drawing#moth#insect#クスサン

2023-09-22 13:14:59 +0000