❖流星雨とピルグリム【illust/106241074】
今期も宜しくお願いします。
❖吸収の剥製 / 瑠迦珠(ルカシュ)
男性 / 180cm / 享年24歳 / 花の世界
一人称:不佞(ふねい) / 二人称:御事(おこと)※生者の名前は現状ただ一人を除いて覚えられない
❖前期:ハートウィック【illust/109487933】
「神様曰く、契約違反で早々に散った役立たず。何をしてしまったのかは分からないけれど。
消える直前まで公演は大盛況だったそうだから……葬儀屋としては、彼がせめて幸せに逝けていたらと願うばかりだよ」
❖前期共存相手様:アルカ=クルブリエさん【illust/110095048】
「とはいえ、時間の剥製に二度目の死と云う不幸は当分先だろう。幸いにも彼を覚えている者は必ずいる。
彼が歌で人々を幸せにしてきた証左だ。そうして誰かの記憶の中で生き続けている。時間の剥製が羨ましいよ。……憎らしいほどに」
❖共存相手様今期:デア=クルブリエさん【illust/112194075】
『やあデアくん。久方ぶりだな。うん、仕事はきちんと熟すとも。御事から託されたご遺体は不佞が看取り、そして覚えているよ。
勿論これから御事が託すご遺体も送ってあげる。……デアくんの憂いも充足感ごと全部、余す所なく見送るよ』
「不佞が唯一名前を覚えていられる"生者"。御事とはきっと根幹がよく似ている。……傷の舐め合いでも構わないよ。デアくんとなら」
❖連星共存(10/14)
光の世界 マコト・レユール・アルイシェド / 祝園 実様【illust/112424389】
「ええー? 嘘だァ、たった今お医者様に診てもらったばかりで──あ、本当に怪我がある。うわーしかも結構深いな。有難う、助かったよ」
「また傷がある? わァ本当だ。そういえば御事は前も怪我を見つけてくれた人だね? 御事はすごいなァ。
だってヴェル=アンクの医療従事者は皆優秀だろ? そんな彼らでも見つけられない怪我を見つけられるんだものね。今回も助かったよ」
❖ ❖ ❖
「御事が怪我を事前に見つけてくれた方が早いって言われたよ。そういうわけで、多忙なところ申し訳ないけど宜しく!」
「薬詮……聞いたことがある。久須利だったかな? ははァ、御事は彼らの縁者なんだね。
そのおかげで御事は不佞の怪我発見器になってくれてるんだ。触覚喪失しているからどうにも分かりづらくて。見つけてもらって有難いよ」
「前から気になってたけど、御事は事務的に仕事しているようで、その実何かに迫られるように仕事をするね。
まあ不佞は気にしないけど。御事も他人に干渉されるのは嫌だろ?」
「不佞は葬儀屋をしてるんだ。一人で死ぬのは寂しいからね、その人の生涯を記録して看取るのが不佞の仕事。
御事の製薬技術の中で、安楽死させられる薬とかない? 苦しませずに逝かせてあげられるならその方がいいだろ?
……そのうち、ね。ということは心当たりがあるんだ? いいさ、今はそれで。いつか絶対教えてよ」
「あ──ごめんよ。なんていうか……ごめん、上手く言えないけど、急所に触れられるのは触覚がなくても怖いかな。
手を叩いてしまってごめん。御事は仕事でしてくれているのに邪魔をしてしまったね」
(悪いことしてしまったな。でもこの子だけでなく、人間に急所を触られるのは悍ましいなァ……)
❖ ❖ ❖
「……なんだか体調悪い? ご遺体のように真っ青な顔だね。貧血? ふゥん、医者の不摂生ってやつ? お大事にね」
「ええ、なんで倒れてるの。……分かった、触らないから。人呼んできた方がいい? ……こうなるの一度や二度ではないみたいだね」
「──は。なに、それ。それは搾取じゃないの。御事はそれでいいの……?」
「あァ怒ってるよ! 何故だか分からないけど、御事の現状に腹が立つ! 心が痛い! 何で涙が出てくるんだ……⁉︎」
「──ねえ、生き辛くない? 終わらせたい命なら、今すぐ終わらせてあげようか。
不佞は魔術が使えるんだ。死にゆく者を救済する──御事を助けられるものだよ。
御事の抱えてるもの、全部不佞が吸収する。御事が願ってくれたら、くだらない現世から今すぐ逃がしてあげられる。
だからこの手を取って。不佞なら永久の幸せを御事にあげられるから……‼︎」
「──不佞には、願わないって……? 不佞に救済を求めないの……?」
「止められるわけないだろ……⁉︎ 願ってくれなきゃ、不佞は助けてあげられ──‼︎」
(助けてあげられない……? 誰を? 答えが分からないのに、本当に助けたいのはこの子じゃないって、確信しているのは何故……?)
「……馬鹿だね、絶対に後悔するよ。不佞の手を取らなかったこと。
今はそれでもいい。だけど御事を……マコトを終わらせられる存在がいるんだってこと。それだけは覚えていて」
「愚かだね。逃げ出したくても逃げない棘の道を自ら選ぶなんて。後悔なんてしない方がいいに決まってるのに。
……でも、何故だろうね。その愚かさは美徳だと思うよ。そういう愚かさが人の人生なんだろうね。
以前からそれは知っていた気がするけど、今初めて思い知った不思議な気分。
マコトが愚直に抗う人生を見ているよ。そうして足掻いて、終わる時には迎えに来る。不佞が絶対に御事を終わらせるから」
❖ ❖ ❖
「……多臓器不全。そんなところかな? 死因を当てるのは自信があるよ。数多くのご遺体を見送ってきたもの。
いっぱい頑張ってきたものね。見てきたもの、よく知ってるよ。御事と不佞は根幹が似ているから、隣人として御事を見てきた。
その生き様も、足掻きも、苦痛も、一握りの安寧も、マコトの全ては不佞がずっと覚えているよ。
もう逃さない。御事が宿していた生命の光を、不佞が吸収して連れて行ってあげる」
「やっとよく眠れるね。──おやすみ、マコト」
(恋と呼ぶには下心もなく、愛と呼ぶには真心もなく。友人と呼ぶには後腐れがあり、他人と呼ぶには情がある。
マコト。御事のこと助けてあげたかった気持ちは本当で、だけどきっと一番は自分を助けたかった。
自分自身の何に共感して救済したかったのかは分からないけど、御事を利用しようとした。
でも御事は助けを求めなかったから、だから今がある。
──お疲れ様、愛しき隣人。マコトの全て、これからも全部覚えているから)
2023-08-31 15:10:53 +0000