大魔王サタンがピンクちゃん親子丼に倒される前に話を戻す。
カグラちゃんは暴走した魔族群と戦っていた。人間たちを守るために。それ以上に、困難な敵が立ちはだかった。
魔族特捜隊や、暴走した群衆ども。彼らは魔族狩りと称して、無実の人々を拷問にかけて殺していった。幼い子供ですらも。
「あの水族館のやつらも魔族らしいぞ!」
そんな根拠のない噂が広まる。暴徒集団が押しかけて、中にいる人々に危害を加える。それだけでは終わらなかった。ペンギンの展示場に、たくさんの火炎瓶が投げこまれた。
「お父さん、みんなぁーっ!」
駆けつけたカグラは、絶望して発狂した。一緒に暮らしていた仲間たちが燃えていく。苦しそうに走りまわる。それを眺めて、スマホで撮る若者3人!
「ペンギン脂のせいで、よぉく燃えるぜ! SNSに流してやる」
「おい、あの子、可愛くない?」
「魔族じゃねぇ?」
「悪魔かよ。犯してから、殺してしまおうぜ。りょなー大好き!」
「お前らこそが悪魔だ! なにがホモサピエンスだ。ゴミどもがっ!」
(そうでしょう。人間はつまらない生物。こいつらがいるから、たくさんの動物や植物たちが苦しむの。帝国軍と魔族の戦いで、どれだけの自然が壊されたことか。カグラちゃんというペンギンさん。私と一緒に人間どもを滅ぼしましょう!)
心の底から響く声。
炎が全てを包みこむ。
ポンちゃんのおかげで、死んだ仲間たちは蘇った。それでも、カグラの人間への不信感は消えなかった。
ハリちゃんも人間という種に失望していた。人の心が読めるため、膨大な狂気を浴びすぎた。彼女も静かに壊れていった。
ニャルは嗤う。
「よくやったよ。操り人形さん。僕の勝ちだねっ!」
2023-08-30 13:04:01 +0000