「お前さぁ・・・いい加減ウチにきなよ」
静かな街角にしゃがみ込む制服の少女が話しかけてるのは一匹の薄汚れた子猫だった。
子猫は少女の白い靴の横までくると寄りかかるように座り込んだ。
「そっか、やっと来る気になったんだな?」
これまで何度も話しかけてきたが一向に見向きもしなかった。
この通りは小動物の衝突事故がよくある。この子の親猫もここで命を落とした。
人間に対して恐怖を感じているのか。それとも怒りを感じているのか。
ボロボロになりながらも、たった一人で生きていくことを決断した子猫だったが
毎日のように助けの手を伸ばすこの少女に対し、警戒心を解き身をゆだねたのだった。
弱弱しい子猫を抱きかかえると立ち上がり自分が住んでいる神社の方角に体を向ける。
「真知子は絶対オッケーしてくれるから安心していいぞ!」
そういうと少女は不思議な光に包まれ忽然と姿を消した。
2023-08-15 15:05:24 +0000