かつての大阪市交通局が運営していた大阪市営バスで使われていた電気バス(電気自動車)2台のうちの1台で1972年から1982年まで使用されていました。
1970年代初頭、都市部の大気汚染が深刻化し、光化学スモッグが発生するようになりました。その大気汚染の主要因として自動車からの排気ガスがクローズアップされることになり、国内の自動車メーカーは一斉に低公害車の開発に着手しました。こうした背景のもと、大阪や名古屋、東京など大都市のバス事業者も電気バスやハイブリッドバスを相次いで導入しました。大阪市営バスの「あおぞら」号もそうしたバスで、電気バスの中では最も早くお目見えしました。
大阪市交通局では1966年に電気バスの調査研究を行ってきましたが、技術者からバッテリー性能の問題で実用は困難との
見解が出ていました。しかし1968年に再び実用化に向けた要請を受け、開発がスタート、1972年に2台が完成し、営業運行に投入されました。
ベースの車両はいすゞ製で、大阪市営地下鉄の車両にも使われていたサイリスタチョッパを採用、制動エネルギーを回生して、バッテリーの有効活用を図りました。またバッテリーの交換施設も用意され、更なる増備も検討されましたが、車両重量の4分の1を占めるバッテリーのコストが膨大だったため、1982年3月で引退する事になりました。
電気バスが再び日の目を見るようになるにはバッテリーの高性能化が進んだ2000年代以降に持ち越されることになります。
背景色ありと無しのモノ、色塗り前の線画をぞれぞれアップします。
参考文献 バス事業100年史編纂委員会編『バス事業100年史』社団法人 日本バス協会
2023-08-07 15:40:16 +0000