以下の方々のご貢献に感謝しております、彼らのご協力無しにはこの作品を完成する事は出来ませんでした
制作指導 lianさん 消消さん 起司さん 文学さん
QA lianさん 消消さん 芝士鷄排さん 文学さん Joshua sunさん
ネイティブチェック担当 lianさん だんごむしさん Joshua sunさん
表
1974年11月17日
拝啓 オミトタケウチさんへ
先日は、日本の民俗伝承に関する資料の提供そして私の学術報告への協力、ありがとうございました。今日は、貴方に都市伝説のような不思議な話と役立つ情報があります。
私が有給休暇を取る1ヶ月前バーで暇をしていた時に謎めいた奇妙な男性に会いました。男性は落ちぶれた紳士のような服装をしていて、彼と最初に話した時、私は衝撃を受けました。出会ったばかりなのに彼は私の人生をよく知っていたのです。まるで水の中で喋っているような、ぼんやりと聞き取りにくい声をしているのですが、頭の中では何のことだかよくわかっていました。彼が言ったことはほとんど忘れてしまいましたが、その内の1つだけ、「失われた神話」について言及したあと、イングランドとスコットランドの辺境地帯にある村のことを書いたメモを残していきました。
ご存知のように、私は趣味で神話や超自然現象について深く研究を行っています。休暇の間にメモに書かれた場所を訪れました。
目的地に到着するまで長い間歩きました。途中、とぎれることのない果てしない森に村全体が隠れている事に気がつきました。ここにどんな人が住んでいるのか想像もつきません。村に入ると、そこは廃墟であり、ほとんどの建物は年月によって崩壊、または浸食されていました。建築様式に関しては、まるで18世紀で止まっているかのようなでした。喜ばしいことに、村の北に位置している教会はまだよく保存されていました。教会は大きく、中に入って見ると、18世紀のヨーロッパには珍しく、この村はキリスト教では無く、独特の信仰を持っていました。
裏
教会全体の壁には名状し難い大きな絵が描かれており、中央の祭壇には生贄が並び、その下には魔法陣のようなものが大きく描かれていました。近づいて見ると、祭壇には胎盤に似た乾燥したものがたくさん置かれていました。この村がケルト神話か特異の対象を信仰していたのではないかと推測すると同時に、彼が言う「失われた神話」に対する好奇心と恐怖という複雑な心境を抱きつつ、その後、崩壊した廃墟のあたりで一冊の本を見つけました。その本に書かれていた文字は見覚えがありませんでしたが、この本は「失われた神話」に関係しているに違いないと直感しました。
教会から出ると、教会の後ろに広い畑がありました。私の知る限りでは、この畑は奇跡的に黒土と泥炭土の二重構造をしている肥沃な土地であり、今では既に固まっている状態です。この広大な畑の真ん中に立っていると、伸縮式の単管望遠鏡を通して、畑の向こうの森から不思議な光景を見ました。本来はアフリカかオーストラリア大陸にしか存在しないはずの「バオバブ」に似た巨木が広がっていたのです。ただ、もっと奇妙なのは、この「バオバブ」の根の部分が地面から遠く離れていて、まるで大地の上に立っているように見えたことです。ここまで来ると、この村にすっかり興味が深くなってしまいましたが、時間の都合で村を離れ、リゾートでの有給休暇を楽しみました。来年の春か夏に、この村の探索と調査の続きを行う予定です。
そして最後に、アメリカの友人からアレイスター・クロウリーによる『Ad Meiomrum Cthulhi Gloriam』という本を受け取りました。貴方はきっとこの男性の事をご存知でしょう。「今世紀で最も邪悪な男」「世界的に有名な神秘学者」「トートタロットの作成者」、私はその名前を聞いただけでぞっとしました。本をざっくり読んでみると、本のタイトルはラテン語ですが内容は英語で書かれています。私はクロウリーが怖ろしいし、本は私には役立たないと思うのでそちらの研究は貴方にお願い出来ると幸いです。
貴方の忠実な友人
エドモンド・R(リチャード)・スタンリー
2023-08-03 04:26:39 +0000