大正6年、あどけなさの残る13歳少年・春原史郎の見合いの初デート

入笠カメリア
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まさか相手が、長年憧れ続けた「窓辺のヨーデル少女」とは知らずに、兄の瀬戸内脩、親友の小河原勉、机ツタキ、名取カヨの図らいで、とある貴婦人との見合いを計画された春原史郎。

雨の中信濃境駅の裏側で、蛇の目傘を指しながらそわそわと頬を赤くしながら待つ少年。

恋と呼ぶにはまだ幼いあどけなさの残る顔、小さな手に低い背丈。まだ「男」ではなく「少年」春原史郎の初恋。

しかし雨の中、かけてきた少女を見て史郎は心底驚く。何とそれは、史郎が長年憧れ続けた、いつも窓辺で美しいヨーデルを歌う「窓辺のヨーデル少女」植松トミだったのだ。

晴れ着のない史郎には、蚕糸女工の名取カヨが上質な山繭蛾(白髪大蛇)の絹糸から美しい緑の糸を取って、それを地の緑を活かしつつ、藍の青と斑に染めて、着物と袴を拵えた。

それといつもの学生帽にブーツ。貧しく、いつも見窄らしい服装の史郎も、あっという間に大正のハイカラさん、モボに大変身!

こうして出会った史郎とトミは幼いながらに、お互いの人柄と外見の魅力に一瞬で恋に落ちる。

音楽の事にもそれなりに詳しいトミは、こっそりと史郎を「私のグァティエール・マルデ様」と呼ぶようになる

勿論ここで入るトミの挿入歌は「グァティエール・マルデ」だ。

※グァティエール・マルデはヴェルディのオペラ「リゴレット」の中でヒロイン、ジルダによって歌われる初恋の思いを寄せるアリアである

こうして史郎は、この後15歳にしてトミと結婚して逆玉の輿にのり、同年15歳にして三人の子の父親となり、終戦までには9人の父親となる。

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2023-08-01 15:55:16 +0000