【幻ロボ3】激震、鉱山脱出大作戦!!【カエリム王国】

堕魅闇666世

「ふむ!良い動きである!!見込みがあるぞ、オヌシ!!」
アルケミック・ジャベリンの追撃を空宙で捌いたガオに
迫る突撃を、禅岳のスカルヘッドが受け止める。
・・・体躯の差を考えれば、あり得ない現象だが
確かに目の前の男はそれをやってのけた。
「す・・・すげぇぜジィさん!よぉーーーし、負けてられっか!!」
ビブリエイス、ディオニダスと続いた強敵との連戦を経てなお、
軽快に巨竜の巨体の上を跳ね回るガオの俊敏さに翳りはない。

「うん!今だね!やるよっ、レア!!」
「オーケー!合わせなさい!!」
救援に駆けつけてくれたレアのライブロンと
ソレイユのラオシャンもこの機に乗じて追撃を図る。
立て続けに放たれるレアの魔弾の援護を受け、懐に潜り込んだ
ラオシャンが軽快に反撃を交わしながらカウンターを決める。

「ったく、数が増えたからってチョーシ乗ってんじゃねーぞ」
ディオニダスの巨体に生じた死角をカバーする
ビブリエイスの照準を、横合いからの狙撃がかき乱す。
「速い・・・!今のをかわすなんて」
「チッ、目のいいヤツが居やがる」
仲間を迎えに来たキアの狙撃が、ルヴォンに圧をかける。

「すごい!これなら・・・」
救援に来てくれた仲間達の連携に、一縷の希望を見出すハッシュ。
「バッカモン!!これでどうにかなるならオレも苦労してねぇ!」
その油断をポメ親方の怒声が一喝する。
しゅん、と尻尾を垂らして項垂れるハッシュの横から
セオッタルダスがずずいと割り込む。

「オッサン、ちょっと手持ち無沙汰なんやろ?
ええ武器あるんやけど・・・どないや??」
言いながら、背中に大量に背負った武器の中から
一際巨大な大槌をポメ親方のゴーリアに差し出す。
「地面をぶっ叩いて変形させる魔法武器!ウチデ・ハンマーや!!」

「おお!?面白そうじゃねぇか!!っしゃァ!やるぞハッシュ!
オリアンデル鉱夫の業、忘れたとは言わせねえぞ!?」
大槌を担ぎ上げた親方の掛け声に、ハッシュも元気を取り戻す。
「ガッテンです!親方っ!!」
尻尾をぶんぶん振って、やる気十分。
「そこのドリルの坊主もだ!場所は教える、せーのでぶっ叩け!!」
「が、ガッテンです!!」
有無を言わせぬ頼もしさに、ラセンも二人のノリに巻き込まれる。

ディオニダスを翻弄し、奮戦する戦士たちの背から響く大音声。
「ぶちかますぞォ!一旦退がれェ!!」
激戦の騒音さえ上書きするような野太い号令に、
交戦中の仲間たちが一斉に後退する。
「「「・・・ッせぇぇぇ〜〜〜、のォ!!!」」」
配置についたラセン、ハッシュ、ポメ親方の
ドリル、ツルハシ、ハンマーが一斉に坑道を穿つ。

熟練鉱夫の目に狂いはなく、鉱脈を撃ち抜いた一撃が
ディオニダスの足元まで及ぶ亀裂を生み、
衝撃で励起されたゼオジストが魔力の間欠泉を噴き上げる。
「フン、小賢しい。我を嘲弄するなど、不遜を弁えよ・・・!!」
怒れる龍が三つの顎を解き放ち、満身に漲る魔力を
口腔から迸らせる・・・その刹那。

「どわぁ!?!?」
巻き起こる大爆発にさすがのワカバも酔いが吹き飛ぶ。
「ヘッ!オリアンデルは初めてか!?
この山じゃこんぐれぇ日常茶飯事だぜ!!」
急速にディオニダスの周囲で密度を高めた魔力が、
ドラゴンズスペル・キャニスターに満ちたエネルギーと
反応して巻き起こした大爆発は凄まじいものだった。

「ハナからこんな完璧に使うヒト、初めて見たなぁ・・・」
期待以上の戦果に、思わずボソリと漏らすセオ。
「オイ?そんな怪しいモンを押し付けんなよ!?」
「はっはーん!何のこっちゃ??
それより旦那ぁ🤍さっすが、お見事なハンマー捌き!
ウチ惚れてまいそうやわぁ🤍
ハンマーも、運命のヒトに巡りおうてメロメロや🤍」
ガオのツッコミをひらりとかわし、猫撫で声で擦り寄るセオ。
「おお!気に入ったぜ!コイツ、貰っちまっても構わねぇか!?」
ポメ親方が二つ返事で請け負うと、セオも上機嫌で揉み手する。
「おっしゃ〜まいどッ!!やっぱり旦那は見る目がありまんな🤍」
商談成立、思わずガッツポーズを決めるセオッタルダス。

・・・そんな、弛緩した空気を怒れる咆哮が吹き飛ばす。
満ちる粉塵を放射状に跳ね除け、再び姿を見せた龍は。
「む・・・無傷・・・!?」
その目を真紅に染めて、赫怒に震えていた。
山ごと揺るがすかと思わせる凄まじい怒声と共に、
その火力の全てが解放される。

三門のドラゴンズスペル・キャニスターと
両肩のアルケミック・ジャベリンを一斉発射。
同時に、唸りを上げるグラインドホイールが地を刻み、
坑道を塞ぐ巨体が壁となって迫る。
「て、ててて、てったぁ〜〜〜い!!!」
ハッシュのうわずった号令を待つまでもなく。
泡を食った一行が一斉に出口目掛けて走り出す。

坑道を粉砕しながら迫る龍からの決死の逃避行。
ゴールであるトンネルが近かったことがせめてもの幸い・・・
「逃げられると思ってんのか?」
逆方向に引いて難を逃れていたビブリエイスの、
追いつきざまの一撃が天井を崩し、落磐がトンネルを埋める。
「な!なんて事しやがるテメーーーッッッ!!!」
涙目でブチ切れるポメ親方の絶叫が虚しく尾を引く。

溜め込んだゼオジストの有り余るパワーを
そこらじゅうに撒き散らし、爆走するディオニダスのスピードは
逃げる一行を上回る。このままでは間違いなく全滅する。
どこか、どこかに逃げ道はないか・・・?
「道がないなら自分で作れ!そう教えてきたよなァ、ハッシュ!!」
周囲を見渡すハッシュの背を、力強く押す親方の声。
オリアンデルを出立するハッシュに、親方が送ってくれた言葉だ。
「・・・はい!やりましょう親方っ!!」

毎日採掘に励んできたオリアンデルは僕の地元だ。
僕だからこそ、見つけられる道がある・・・!
愛機ウーガーカスタムの推進力に、ストックがわりのツルハシで
さらに加速を加え集団から突出したハッシュが、
見極めた坑道の一点にツルハシを打ち込む。

ここ掘れワンワン!
とは、流石に言わなかったが。ニュアンスとしてはそんな感じだ。
その意を汲んだ一行が、持てる力を振り絞る。
ライブロンの魔弾、カニジャンの爪、セオッタルダスの爆撃、
ガルガントの棍、スカルヘッドの正拳、ラオシャンの蹴撃、
ラセンナイトのドリルにゴーリアのハンマー。
「ダメだ!岩盤が硬すぎる・・・!」
協力できず焦るキアが振り返れば、贋作竜皇の威容はもう間近。

奇しくも。その巨重が最後の引き金だった。
崩れ落ちる足元が、一行を巻き込む。
敵も味方ももろともに投げ出された地下空洞。
覚悟した激突の衝撃はなく、暗闇の底には流水が満ちていた。
「オリアンデル鉱山からグリンデル城砦へ続く地下水脈です。
これを辿れば、城砦方面まで帰れるはず───」
説明はそこで断絶される。
吠え猛けるディオニダスが、地下空洞を震撼させる。

「根本的に何の解決にもなってへんやんけーーーッッッ!!」
距離こそ開いたが、逃亡劇は未だ終わらず。
必死で水路を降る一行は、やがてボルソルン連合が
設営した魔術砲台をめぐる激戦区にディオニダス諸共に
なだれ込むことになるのだが・・・それはまた、別のお話。

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2023-07-25 14:34:40 +0000