オリアンデル鉱山で鉱石を貪る
ディオニダスillust/109227167
どうやら格別の好餌を嗅ぎつけた模様。
一方、
リリンちゃんillust/109928531
の手当てを受ける
ハッシュillust/109292665
ガオくんillust/109834360
ポメ親方illust/109112303
の行方に関する情報を聞きつけます。
※
この我を後詰めに回すとは。
ボルソルンの連中にも、まずは自らの腕力でもって勝利を
もぎ取らんとするプライドがあったということか。
だがしかし、ここオリアンデル鉱山はゼオジストの鉱床。
このディオニダスにとって絶好の餌場であることもまた事実だ。
今はここで、高みの見物を決め込むのも悪くはない。
機を見計らい、ここで蓄えたゼオジストを存分に使って
戦場を蹂躙してやろうではないか。
カエリム王国の魔法技術を支える坑道は、
ルーンギガントの巨体でも余裕を持って通り抜けられる広さがある。
坑夫達もまた、採掘に魔導騎を用いているのだから当然ではある。
泡を食って逃げ出した坑夫や研究者たちが置き去りにした
機材や生活用品、住居などをその巨体で蹴散らしながら、
機竜の巨体が坑道を奥へ奥へと分け入っていく。
鋼の牙と爪で坑道を掘り崩し、ゼオジストを貪り喰らう。
その度に、強大な力が体内に満ちるのを感じながらも、
ディオニダスが満足することはなかった。
坑道の奥へ踏み入るほどに、強く感じるより濃密な魔石の気配。
オリアンデルが内包するゼオジスト鉱脈の中心部を目指して、
貪欲にさらなる力を求める贋作竜皇が歩を進めていく。
・・・
「ポメ親方が、龍脈石を運ぶために鉱山に残った?」
リリンの言葉に、ハッシュがおうむ返しに問い返す。
「あらあらぁ?もしかして知らなかったんですかぁ?
操縦だけじゃなくって、情報収集もよわよわなんですね?
ざっこぉ🤍情弱🤍何も知らないまま死んじゃう🤍かわいそ🤍」
「むぐぐ・・・」
煽り散らかすリリンに返す言葉がない。
サンディナや吟華たちとの激しい戦いで受けた傷を
治療してくれたその手腕は素晴らしいもので、
表層的な言葉からは測れない思いやりも確かに感じられたからだ。
「龍脈石・・・ってなんだい?」
このグリンデル城砦で新たに加わった仲間、
ガオが耳慣れぬ言葉に興味を示す。
「オリアンデル鉱山の鉱脈の真ん中から見つかった、
超高純度の巨大なゼオジスト原石のことを、
僕たちがそう呼んでいたんだ。
オリアンデルが、ゼオジストの豊かな資源に恵まれているのは、
この地へと龍脈を繋いでくれたあの石のおかげなんだって・・・
ポメ親方は言ってたな。
僕たちにとっては、御神体みたいなものなんだ。だから・・・」
「ボルソルンの奴らに渡すワケにはいかねぇ!ってことだな」
合点がいったガオの言葉にハッシュも頷く。
「でもでもぉ、今や鉱山は敵地のど真ん中🤍
あぁ、親代わりに自分を育ててくれた、大好きな親方が死んじゃう!
なのに、非力なワンちゃんは何もできませんねぇ★ざんね〜ん🤍」
くふふっ🤍と含み笑いを見せつけるリリンにガオが食ってかかる。
「バカにすんな!恩人を見捨てるほど俺たちの隊長は
落ちぶれちゃいないぜ!・・・だよな?隊長!」
ガオの真剣な眼差しに、ハッシュも深く頷くが・・・
その一方で、救出が無謀であることも事実だった。
・・・何か策を練らないと。
城砦周辺の戦闘を回避し、ボルソルン占領下のホノトスを抜け、
敵地となったオリアンデル鉱山の奥にいるであろうポメ親方と
龍脈石を救出する。
途方もない話だ。弱小傭兵団の手には余る。
それでも・・・知恵を絞ってなんとかしないと。
なんとか生き延びてください、親方。
僕が必ず、助けに行きます。
・・・
オリアンデル鉱山に縦横に走る坑道は、その長い歴史と共に
複雑怪奇に発達し、全容を把握している人物は限られる。
「やれやれ!!久しぶりに見たが、相変わらずデケェな!!!」
かく言う親方の声も、目前の龍脈石に負けず劣らずのデカさだ。
ポメ親方が長年愛用してきた採掘用ゴーリアの背の専用ラックに、
恭しく祭壇に祀られていた龍脈石を搭載する。
その直径は5メートルをゆうに超える。
天然ゼオジストの結晶としては類を見ない巨大さだけでなく、
その眩いばかりの輝きからもその脅威的な純度の高さが窺える。
まさに、オリアンデルの至宝だ。
ボルソルンの蛮族どもに渡すわけにはいかない。
坑道の裏道を把握するポメ親方だからこそ、鉱山を占拠した
ボルソルン兵の目を逃れてここまで辿り着けたが・・・
ここからが本番だ。
「さぁて!!連中に見つからねぇように気をつけねぇとな!!!」
・・・その、デカすぎる声が危機を招き寄せたものか。
龍脈石を補完するための洞穴が激震に包まれ、
壁の一角が突如として吹き飛ぶ。
「オイオイ!!こりゃたまげたぜ!!
まさか、自前で直通のトンネルをぶち抜く奴がいるとはな!!!」
ゼオジスト粒子の燃焼でガラス状に溶けた破孔を目の当たりにし、
ガッハッハと豪快に笑うポメ親方。度胸が有り余っている。
「なるほど。我を引き寄せたのはその石か。
大人しく我に差し出せばよし。さもなくば───」
それ以上の言葉は不要だった。今しがたその威力を
存分に見せつけた、ゼオジスト粒子フレアの閃光が、
開け放たれた口腔に満ち満ちる。
「バッキャロー!!誰がテメェなんぞに渡すかよ!!
一昨日きやがれ、トカゲ紛いの鉄クズ野郎!!!」
堂々と啖呵を切ったポメ親方が、手にしたツルハシを
天井目掛けて投げつける。
即座に岩盤の急所を見抜いた熟練の坑夫の一撃が、
脆弱化した岩壁を崩落させてディオニダスの巨体を飲み込む。
「あ〜ばよォ!!化石になったらまた掘り出してやらァ!!!」
尻尾を巻いて逃げ出す親方のゴーリアの背中から、
坑道を揺るがす怒りの咆哮が轟く。
思いがけぬ屈辱に怒り狂う巨竜が瓦礫を跳ね除け、猛然と走り出す。
「ガハハッ!!こりゃチョイとやりすぎちまったなァ!!!」
磊落に笑い飛ばしながらも、複雑怪奇な坑道を逃げ回るポメ親方。
追うディオニダスが阻む一切を粉砕して驀進し、
ここに広大な坑道を舞台にした大捕物が幕を開ける。
ポメ親方の運命やいかに?
その結末は、救出の術を探るハッシュの双肩に委ねられている!!
※
救出作戦のアイデアはまだ固まっていませんので、
提案や協力してくださるキャラクターなどいらっしゃいましたら
ぜひコメント等でご連絡ください!!
2023-07-18 01:43:13 +0000