230703 強化服のもう一つの“ルーツ”「耐圧防護スーツ」

ひふみ 唯
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従来の柔らかい素材による「軟式宇宙服」に対して
主に耐圧・耐環境防護性能の向上を目的として開発された「硬式宇宙服」………

………いわゆる「外骨格スーツ」である

『先日、うろ覚えのイメージを元に「試作機」描いたけど
 今回の発掘品コラージュ「高1の頃('78)に描いた強化服の“原案”スケッチ」
(※2・3枚目参照)
 ………この「当時イメージしてた姿」をリライトして
 試作機のベースになった「Pressure Proof(耐圧)スーツ」を描いてみた

 倍力増幅比=1の、あくまで宇宙探査用の「硬式耐圧宇宙服」である
 (これの倍力・運動性能を強化したのが「強化服試作モデル」)』

「Pressure Proof(PP)スーツ」は
スタジオぬえが1976年にデザインを発表した防護スーツの名称である

「硬式宇宙服」は、宇宙開発の極初期には実際に研究されていたが
重い・嵩張る・扱いづらい等の理由から早々に廃れてしまった

なので、自分が知っている「宇宙服」といえば
米ソの実際の宇宙開発で用いられた「ブカブカした軟式宇宙服」だったが
そこに登場した、まるで「未来のSFメカ甲冑」のような
ぬえの「PPスーツ」のデザインは相当なインパクトがあった

また同時に、'78当時日本で公開され大ブームとなっていた
第1作目の「スターウォーズ」に登場する「ストームトルーパー」の
“甲冑のような”硬質な防護服の影響も大きかった

1979年、高2の時にハヤカワ文庫のぬえの「強化防護服」に出会い、自分なりに
デザインする前年───────1978年、高1の頃はこの
「プレ強化服」ともいうべき、PPスーツやストームトルーパーの影響を受けた
メカニカルな雰囲気の「ハードスーツ」の落書きを
ノートや「日々のお絵描き」や授業のプリントの隅っこに、盛んに描いていた

その頃のおぼろげな記憶を元に「だいたいこんな感じ?」と
先に「プロトタイプ(試作機)」の絵 illust/109942348を描いていたのだが………
先日、その頃の「らくがき」を大量に発掘する事に成功したので
それらを元に「今描くとこーなる」と“リライト”したのが
これである

この「硬式“外骨格”耐圧スーツ」に
「踊る骨組み」のパワーアシスト機構を組み合わせる事で
「技術実証試験機(概念試作機)」────“プロトタイプ”が作られ
そこに戦闘用途の装甲その他が追加されて
本格的な“戦闘用倍力服”………「強化防護服」が開発される事となる

■【2枚目】1978「プレ強化服」のラクガキの数々

1979年に機動歩兵用の「強化防護服」をデザインする「前夜」
1978年の様々なラクガキ……「イメージスケッチ」である

『昨夜「パワードスーツの夜明け」企画のテキスト書き進めてたら、正式採用機の
 前の「試作モデル」絵のところで、それを構想してた当時のスケッチも探して
 みようかなーとか思って……部屋の隅をほじくり返したら1978年のラクガキ箱が
 出て来た………主に高校1年の頃である

 その中から日々の落書きやプリントの隅やら拾ってスキャンして切り抜き合成
 してみた……
 78年、まだハヤカワ文庫の「ぬえ」イラストは見てないけど
 友人の勧めで「ハヤカワノベルズ(銀背)」の「宇宙の戦士」を学校の図書館で
 発見して読んでる段階……

「強化防護服」というよりはそれ以前の、'76年にぬえがSFマガジンで連載してた
 漫画「グランドマーク」に登場するPP(プレッシャープルーフ=耐圧)スーツの 
 影響が非常に大きい(メットの感じとか胸部のパーツ、関節部の処理とか)

 ………しかし全体のデッサンとか関節部の構造とか「中に人体が入る事」とか、
 全然考えてない絵だなこりゃ
(まさか足が入るのはヒザまでの“竹馬”方式か!?)

 しかし「うろ覚え」でこの頃のラクガキを思い出しつつ先日「試作機」描いたけど
 雰囲気はだいたい合ってたなー(笑)』

ハインラインの「強化防護服」よりも、先に触れたこの「PPスーツ」の
「硬式宇宙服」………“メカでできた宇宙服”“着るメカニック”という概念が
非常に新鮮で、影響が大きかったようだ
(その影響は後に完成する強化服Type79のベースにもなっている)

左半分の「初期型」では、後頭部の横長の「長距離センサー&通信機」が
まだ備えられていない点に注意
バイザー部分の形状も、丸いキャノピー状以外のものも見受けられて
中央下では様々な形状のものが検討されている

■【3枚目】1978 最後の「零士スタイル」(そして次世代の予兆)

『ちなみにこんな絵も出て来た……78年、まだ「松本零士」絵から
 抜けきっていない頃……しかも超珍しく色鉛筆着色絵(余程気に入ったのか)
 9/18の日付入り

 機動歩兵というよりは治安維持の「ストームトルーパー」的運用を
 想像してたようだ
 (まだ明確な「外宇宙勢力との恒星間戦争」のイメージを持っていなかった)
 
 ちなみに右のヒトがムチ持ってるのは、恐らくこの頃放映されていたTV版
 「銀河鉄道999」でメーテルがムチを使って戦ってたのが
 カッコ良かったからだろう………(笑)

 そして下に貼り合わせた絵は少し後、左の「ねぼけている女の子」は既に
 陸奥A子タッチの習作に入ってる………
 「真夜中のバイト中に夢遊病の同級生の女の子とハチ合わせする」という
 大変可愛くて楽しい作品が存在するので、そこからインスパイアされたと
 思われる』

下の部分の絵の右、それまでは全く描いた事などなかった
「室内の本棚」─────“日常の風景”を描いているのも
「少女まんが的世界観」へ歩を進めつつあった事を象徴しているのだろう

また、自分にとって「外宇宙(異星の知的生命体)勢力との恒星間戦争」とは
現実において「“社会”と対峙して、自らの生きる道を探ること」の
アナロジーでもあった

高校に入学したての頃は(なんか「オーケストラの指揮者になりたい」等という
妄言を吐いてた記憶はあるがw)「自分の進むべき道」なんて全く五里霧中の
おぼろげなものでしかなかったが………

………「少女まんが」という表現に出会い、、そして79年からは
「まんがスクールを経てプロデビュー」という具体的な道筋が
明確になって以来──────

───────自分にとっての「“外”の世界との戦い」が始まったのだ

同時期にデザインされた「機動歩兵用の強化防護服」とは
自分にとって、その戦いを象徴する“尖兵”のイメージの1つでもあった
(だから今でも、こだわりが強いのだろう………)

それは大学卒業まで続き………やがて漫画家になる事を諦め
「会社員として就職」した時点で一度、“挫折”を迎えたのである(笑)

この絵を描いてた頃は、まだそんな事とは縁のない………
………「国内の反乱分子を取り締まる」という
実に“平和な”時代であったw

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2023-07-15 12:47:29 +0000