黒澤明監督 「七人の侍」

つじもとひでお

「七人の侍」には、ルーカスに影響を与えたジョゼフ・キャンベルが言うところの「英雄の冒険」の要素がしっかりつまっています。
 若き英雄。勝四郎。試練を経て大人へと成長する。わたしたち一人ひとりの分身。スター・ウォーズでは、ルーク。
 勘兵衛。老賢者。英雄に知恵を授ける。ヨーダ。
 五郎兵衛。父。師匠。英雄に技術を授ける。オビワン。
 久蔵。シャドウ(影)。闇の力を利用することができる。ダースベーダー。(シャドウは敵にも味方にもなりうる存在。)
 七郎次。母。忠臣。保護者。R2-D2。
 平八。道化。C3-PO。場をなごませる。
 菊千代。トリックスター。ハン・ソロ。既存の価値観を壊し、新たな創造への道を開く存在。

 英雄譚の常道では、勝四郎が主人公であるべきなのですが、黒澤監督は、あえてトリックスターの菊千代を主人公にしましたね。けれども、物語の構造としては、勝四郎の成長譚、英雄の冒険がしっかり守られています。英雄譚は、英雄の体験を追体験することによってわたしたち一人一人の人生を励まし、生へと押し出します。神話の原型ですから、時代を超えた魅力を失わないのだと思います。

 内田樹先生は、この七人から「組織論」を語られましたけれど、古典的名作は色んな味わい方があるものなのですね。

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2023-07-15 02:00:11 +0000