企画【illust/108902329】
▼こちらの流れをお借りしました
サービス【illust/109342338】
▼お借りしました
ウガツさんとラセンくん【illust/1089097】
▼拙宅の
エイジとウーガオー【illust/109273048】
▼あらすじ
徹底して過大なものを背負わない、というのが大洋鋭児の処世術であった。
家族を負わない、財産を負わない、責任を負わない、罪を負わない、期待を負わない。
如何なる時も裸一貫、如何なる場所でも独立独歩。生きることに己が人間力以上を要さない。
現代日本においては些か奇矯なその性質は、彼に幾許かの社会性の喪失と引き換えにある種の強靭さを与えた。
つまりは、異世界に独りで放り出されてもなんとなく生きていける……そういう類の強さである。
……………………………
なんでもないことのようにさらりと流されたウガツとラセンの企みを聞き、エイジは顎を掻きながらう~むと唸った。コイツら割りとやべーヤツらなのでは?
適当な悪党に廃材からでっちあげたロボを売りつけ悪事を働いたところを自分たちで成敗し名を上げる。ベッタベタのマッチポンプだが、いざ実行するとなると問題は多い。
まず悪事を働くことを見越してロボを売りつける時点で道義的に問題がある。バレたら賞賛どころか非難轟々だろう。バレずにコトを運ぶには些かウーガーも二人自身も特徴的すぎる。
そもそも巨大ロボをそんな気軽に商っていいものなのかも怪しい。武装はついていなかったが、現にエイジが偵察部隊を撃退したくらいなのであの巨体は立派に兵器として成立する。もちろんエイジはこちらの法になど明るくないが、それでも無断で市場に流せば司法や商工組合の類に睨まれそうなことくらいは推測できた。
なんにせよこの二人、「問題に思い至らないほど社会秩序やしがらみに興味が薄い」か「バレなきゃいいやと思っている」か「バレてもなんとかしてしまう腹積もり」か、いずれかである可能性が高く、いずれであっても紛うことなきアウトローである。
さてどうしたものか……という逡巡はほんの一瞬であった。
少なくともウガツとラセンに訝られないくらいには表面に出す間もなかった。
結論。
(まぁ……いっかぁ)
別に実際に他人に迷惑をかけているわけでもないし、そもエイジもこちらの法にまで遵法意識があるわけでもない。
むしろ自分の立場を考えれば初手からもっとマトモな……権力者や司法関係者と関わり合いになる方がよほどに面倒だったはずである。
然るに、初めに出会ったのがこのくらいユルい連中であったのは僥倖であった。
「それで旅人さん。これからどうなさるんです? 今後も無一文ってわけにはいかないでしょう。……アレの代金はまぁともかくとしても」
ラセンも一応助けてもらった手前強く主張するのは憚られたようだが、アレとはウーガーのことである。
そこいらのゴロツキに売りつける気だっただけあり額自体は驚愕の安値であった(重機並みにパワフルな二足歩行ロボットである。本来ブルーカラーの月給程度で買えていいシロモノではあるまい)が、如何せん現代日本から来たばかりの大洋鋭児21歳、全財産は日本国通貨で23524円也。
こちらの通貨などもちろん持ち合わせていないので、交渉の末出世払いと相成ったのだが。
「そうさな、まァ戦争以外は御法に触れない範囲でなんでもやるつもりじゃあいるが」
どのみち戸籍も住居もない流れ者がマトモな職にはありつけまい。だがこの大洋鋭児、現代日本に生まれつきながら生きていく上で己が人間力以外には頼みおかないのが信条である。五体満足でついでにまがりなりにも巨大ロボまであるとなれば、宇宙の果てだろうが異世界だろうが生きていく自信はあった。
「ついでだ、コイツの宣伝もしてきてやるよ」
ぺしぺしと、無理言ってアタマを付けてもらったウーガーを叩く。
「悪党なんぞわざわざ拵えなくても、世のため人のため働きゃあそれで十分宣伝になるだろ。看板と旗頭はまっさらにしとくもんだぜ」
※問題ありましたらパラレル&スルー、あるいはご連絡ください……!
2023-07-06 14:22:25 +0000