【ミル祝】幽鬼【第五期】

キオ
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❖ミルフォリアの祝福【illust/100314341
 素敵な企画に参加させていただきます。宜しくお願いします。
※キャプション内に同性愛(女×女)表現がございます。苦手な方はご注意くださいませ。

❖幽鬼 / 真名:日和(ひより)
 女性 / --歳 / 黒の祝福
 一人称:此方 / 二人称:おまえ、人間
 ポイント:100pt
 >>嘗て晴華日華を支配していた、幽鬼と名乗る上位存在。
  荒御霊に利用されるがまま、善なる御霊の人間を拐かし囲っていた。
  神でありながらも業が深く信仰も失われているが、人間に失望して久しい彼女は謝罪を拒絶し地獄に堕ちていく。
  ──これは、煉獄に身を焼かれる彼女の命の炎塵。届いていた招待状が燃え尽きる刹那、同じものを持つあなたが見てしまった泡沫の夢。

❖今期限りの参加につき、開花及び既知関係は募集しておりません。


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 ❖  ❖  ❖

 その狐は綺麗なものが好きでした。
 利他的で隣人を思いやる人間が好きでした。
 逆境にも折れず助け合う人間が好きでした。
 自らの行為に責任を負う人間が好きでした。
 善行に美を見出していた狐は群れを離れ、そんな人間たちの一助となるべく手を貸しました。
 日輪と豊穣の力を持っていた狐は、天候を操り人間たちの育てる作物の成長を助けました。
 そうして生きていくうちに、元より神格の備わった狐の尾はいつしか九つに増えていました。
 上位存在になった狐ですが、やることは変わりません。
 自らが愛する人間たちと手を取り合い助け合い生きていくと決めていたのです。

 善の御霊を持った人間が、狐は好きでした。
 その中でも一等綺麗に咲き誇る華を見つけました。
 狐は愛を知りました。華も狐を愛してくれました。
 全ての弊害を乗り越えて、狐と華は番になりました。
「わたしはずっとあなたの側で咲き続けるわ」
「例え魂だけになってもずっと」
 そう言って華は、たった一匹で人間の味方をしている狐に寄り添い続けてくれました。
 唯一無二の番を得て、狐の人間への愛はより一層深くなりました。
 これからも一等愛おしい華や人間と共に生きていくのだと、狐は信じていたのです。

 人間は美しいものばかりでないと知っていました。
 善悪は表裏一体で、どちらも備わってこそ人間なのだと、理解はしていたつもりでした。
 狐の寵愛を受ける華に、一部の人間たちは嫉妬に狂いました。
「おまえだけが神の力を独占している」などと言いがかりをつけてまで華を詰るのは、善行に励んでいたはずの人間です。
 一部の人間たちは、狐の目を盗んで華に手を伸ばしその命を散らしました。
 生きたまま火に焼べて、残った骨を野山に遺棄しました。
 当たり前に側にいたものが、ある日突然何の前触れもなく消える。命あるものの摂理です。終わりは等しく訪れます。理解はしていたつもりでした。
 理解はしていても、受け入れられなかったのです。

 華を喪った狐の御霊は荒れ狂いました。もう人間を愛せなくなってしまいました。
 報復に人間を祟り殺しても。骨を全て掻き集めても。成すこと全て虚しさとなって霧散していきました。
 無惨に鏖殺しても、一族郎党を祟っても、死体を積み上げても。愛した華は帰ってこないのです。
 ですが、愛した華もまた人間です。人間全てを否定すれば、唯一無二の番をも否定してしまいます。
 もはや狐は正常な判別など出来ませんでした。
 美しいものが好きだっただけの優しい狐は、人間の善行に美を見出しただけの優しい狐は、愛した華のように善の御霊を持った人間しか愛せなくなってしまったのです。

 不安定な狐の懐に忍び寄るものがいました。
 狐を利用しようと目論む荒御霊は、善なる御霊を集めて良質な生気の餌場を作らせようと画策します。
 荒御霊は狐の番の御霊に化け、傷ついた狐に取り憑き都合のいいように操作してしまいました。
「綺麗なものは脆いんだ。悪にすぐ淘汰されてしまう。ああそうだね、此方が守ってあげなくちゃ。でなければすぐに死んでしまう」
「綺麗な人間なら、いつか寵姫の御霊の容れ物として適合するかも知れないの? じゃあ相応しい容れ物と綺麗な華を携えて迎えにいくからね」

 そうして善なる御霊の保護施設として、自身の神域を寵姫の肋の中に展開したのが晴神日華となりました。
いつしか狐は幽鬼と名乗るようになり、勧善懲悪に厳格な暴走する神と成り果ててしまいました。
 ですが幽鬼は失念していたのです。幽鬼がまだ狐であった頃、華がくれた大切な思い出を。
「……困ったひと。魂だけになってもずっと側にいるって言ったのに。
 こんなに側で咲いているのにどうして気付かないの。わたしを思い出して。わたしを見て。ねえ日和」

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❖晴華(はるか)
 >>幽鬼が真に追い求めていた唯一の華。または番。
  幽鬼の気が狂っていた時には寵姫と呼ばれていた。
  御霊の姿であろうとも直向きに唯一へ愛を捧げ続けた献身の華。

「梅天くんには感謝してもし尽くせない。あのひとを取り戻してくれて有難う。
 あなたはこれから神としてどう生きていくのかな。あのひとと一緒に応援しているね」
「あのひとは正直なの。好きなものには特に。だから人間のことは本当に大嫌いで、同じくらい大好きなんだよ」
「あのひとと一緒ならどこに行ったっていい。それこそ地獄であろうと側にいる。
 あのひとに着いて行けるのってわたし以外にいる? いないよね? あはは」

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「晴華。絶対に離さないから、今度こそわたしと一緒に死んでね」
「うん、日和。今度は置いていかないから、この手を離さないで」

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2023-05-24 10:38:34 +0000