🐷白鬼🍙

佐伯(精神的な呪い)

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「僕は豚じゃない！！」
スマホに神獣が住んでいるの可愛い……。

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「豚肉は加熱処理！」

二日酔いで痛む頭を抱えて、目眩に耐えた。
響いたのは、苦々しさが溢れている低音域。
おはようの挨拶もなく、暴力的な一声。
顰め面すら隠さず、取り敢えず瞼を押し上げる。

「……なに」
「喜べ、白豚。丸焼きの用意が出来ました」
「わーいわーい、願い下げだ」
「馬鹿にしてんのか、豚野郎」

重たい脳髄で付き合ったのに。
そして腹部も重たい。
鬼灯が仏頂面に鉄面皮と虚無を貼り付けて、無表情のまま跨っていた。

「……なんで、怒ってんの」

一切浮かべない感情を示したわけではない。
妖精さんの瞬き程度に動かす口端から機微は読める。

「てか、お前。……いつ、来た？」
「……そこからですか」
「え？……おい、なに」

少しだけ、いつもとは違う圧迫感を押し付けてきた。
体重やら筋肉やらではなく。
落胆。もしくは、諦念。

「貴方、昨夜のアレは本気ですか」

心底から蔑ろにした、語調。
僕のことを、ではない。
鬼灯が自分に対して向けている、目線。
期待なんかしなければよかった、と。
希望を持ったままに呟く、無意識の揺らぎ。

「私、嬉しかったんですよ。……一応」
「……あの、えっと……」
「まあ、冗談です。寝起きドッキリです、はい」

突然、短くテキパキ告げてから退いた。
寝台の軋みが止むより先に、鬼灯が軽快且つ静かに扉へ向かう。

「……白澤さん」

閉じ切る前の隙間で、至極小さく呟かれた。

「……ごめん、鬼灯」

素面で、向き合えなくて、ごめんなさい。

2023-05-16 08:41:02 +0000