伝説

こばひろ
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昔々、この町には悪の科学者が住んでいた。
彼奴は世界を恐怖に陥れるべく、ウン十年の歳月とコーンフレーク何百万食分の費用をかけて造った巨大ロボット兵器を地上に解き放った。だが、股関節の可動域を小さく設定し過ぎたせいで、彼奴のロボットは近くを通る鉄道の架線を跨げずに、足を引っ掛けて雑木林の中にドッカアアンと倒れた。鉄道員たちは架線修理車に乗って、徹夜で復旧に取り組まねばならなくなった……。
ロボットは大破し、あとには不格好に空に向かって投げ出された足だけが残された。やがていつしか「ロボアシ様」なんて名前がついたこの足をあり難そうに拝む者まで出て来て、足の隣に建つ町役場の連中も、観光スポットになるだの貴重な工業遺産だのと言って町のシンボルにしたもんだ。
しかしある時どこかのエライ専門家が「倒壊の危険性があります」と話すやいなや、町役場の連中は真っ青になって、保存のための修理か、あるいは解体撤去か、どちらの予算を組むかで大いに揉めているそうだ。

どうだ、クソつまらん話だろ。

///ヒゲのオジサンが我ながらたいへん気に入っている作品です。
「架線を跨げずに転ぶ巨大ロボット」というアイデアは、pixivを始めてすぐくらいの頃からありました。こんなネタを7年も温めていたのか、こばひろよ。

#メルクリウス鉄道#traditional#train#scenery#imaginary railways#old man#mechanical pencil

2023-05-05 09:59:47 +0000