スティンガーやヨドンナに続く形でスピンオフが用意されたオオクワガタオージャ―ことラクレス王。戦隊シリーズに限らず最近のヒーローは善悪二元論で語れる代物ではなくなり、個人の正義感や精神的な面にスポットが当たる場面が増えたことでまた違った味わいが楽しめるようになったのは時代の流れかもしれない。ここで紹介するラクレス王は従来の作品では司令官ポジションにいそうな人物ではあるが、レッドであり実の弟であるギラとの確執がもうドロドロしていて面白い。本来のレッドの座を奪われたかと思うとあの手この手でギラを亡き者にしようと画策する辺り、絶対悪であるはずのバグナラクが蚊帳の外にいるのがもう何が何やら。ちびっこは追い付けているだろうか。
オオクワガタオージャーならびにキングオージャーZEROのようにヒーローの装備の試作型ないし初期型といえば、ファーストガンダム以来からロマンのあるものとしてよくある要素。洗練されているであろう現行型を圧倒する旧型(実態が分からないのでこの言い方も正しいかは不明だが)の意地を見せつけたオオクワガタオージャ―の立ち回りは、これまでのラクレスの株を補填するのに十分なものだった。無駄な動きをほとんどしない彼の闘技には手練れ感があるし、急所を外した(これも実態が分からない)ことから人間味も見られて見方が変わった視聴者も多いのではないのだろうか。そして彼の乗機・キングオージャーZEROの存在も気になるしここまで謎で固めたキャラクターも珍しい。
一体ラクレスの身に何があったのか、果たしてギラたちとの共闘はありうるのか、これまでのシリーズの常識を覆しつつあるキングオージャーはどこに向かっているのかが全然読めないのが面白い。
2023-05-04 12:26:29 +0000