ドニューがバリア装置めがけ突入!illust/106581856
迎え撃つはヴィラルド・ジャガードillust/99792743
率いるテンプレート中隊illust/106417995
(メインは市街地エリア想定とのことでしたので、
今回はヴィラルドさんの要請で
応援に駆けつけたという体で一つ・・・!)
ライオネル教官の激闘illust/106527755
スワッドベアード隊の参戦illust/106431313
カーナさんとミシェルさんの因縁illust/106535369
いくつもの物語を巻き込みながら、
フリゲーターillust/100654604
との決戦に臨みます。
迫る脅威に対抗する切り札は・・・
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※
「いや、これでいいんだ、グレアム。
俺たちは、勝利のために多くのものを犠牲にしてきた。
俺の番が、来たというだけのことだ」
ヴィラルドが駆るブルトンが、後退する隊列を離れて突出する。
「待て!お前は指揮官なんだぞ!?
残された者は誰を信じて戦えばいい・・・!」
思いがけず目の前に転がり込んできた大将首に
アイアンアーマイゼの大群が群がり、
戦友の姿は瞬く間に覆い隠されていく。
グレアム機もまた、持てる火力を駆使して必死に
敵機を殲滅するが、物量差を覆すことはできない。
運動性能の限界もあれば、あの数に包囲された
ヴィラルドはもう、助からないだろう。
人類の脆弱な力では、アグレッサーには勝てない。
・・・今は、まだ。
「退がれと言われたからには大人しく引け!
グレアム、ヴィラルドの最後の命令を、無駄にするな!!」
自らも包囲されつつあったグレアム機のすぐそばに
接近したライオネルの駆るシャイヤーが、
包囲の一角を崩して合流する。
「だが・・・!」
ヴィラルドは、人類が持てる限られた力で
アグレッサーの脅威から市民を守り続けた不世出の英雄だ。
ここで失うにはあまりにも惜しい。
「お前が俺の跡を継げ。
俺の、俺の家族の、そしてライオネルの家族の屍が
築いた道を、お前がエクステラへと繋ぐのだ」
機体の損傷が既に激しいのだろう。
ヴィラルド機から届く通信は既に不明瞭だ。
「お前が進めてきたリヴェルザイン計画が
どうなるのかを見届けられんのは心残りだが・・・
後事を託せる兄弟たちに見とられるのならば、悪くはない」
それが最後。
自爆装置を起動したブルトンが周囲を巻き込む火柱を噴き上げる。
救うべき戦友のいなくなった戦場に、もはや用はない。
炎を背負い、グレアムとライオネルは撤退する。
・・・
バルクハウゼン前哨城砦奪還作戦は失敗に終わったが、
裏で同時進行されていたオルサンク鉱床渓谷への潜入が、
人類にザイン結晶体をもたらした。
それは、人類最初のリヴェルザイン、ドーンブリンガーに
命を吹き込み、やがて人類叛虐の嚆矢となっていく。
・・・
そして、今。航宙装備を得て真空を翔ぶドニューの眼下に、
エクステラの威容が間近に迫っている。
「見ているか、ヴィラルド。お前が繋いでくれた道は、
ついにここまで辿り着いた」
目指すエクステラの守りの要、バリア発生装置の
巨大な傘の一角で待ち構えるのは、
ギガセクト級戦艦型アグレッサー、フリゲーター。
「ああ、見えているぞ兄弟!よくぞ還ってきた!!
・・・さぁ!存分に雌雄を決しようではないか!!」
フリゲーターの艦首に陣取ったトゥルム・ドナーから響く
かつての戦友の声。
「バリア装置破壊工作の障害となるフリゲーターを排除する。
スワッドベアード隊、降下してフリゲーターを包囲せよ。
カーナ隊はヴィラルド麾下のテンプレート中隊を引き受けろ。
ヴィラルドの相手は・・・ライオネル、お前にしか頼めない」
グレアムの指令に、ライオネルが力強く頷く。
「構わんさ。初めからそのつもりだ」
リヴェルザイン隊の出撃に合わせ、ドニューもまた高度を下げ、
フリゲーターめがけ砲撃を開始する。
渦を巻くように互いの側面を狙い旋回戦に突入する
ドニューとフリゲーターの間に無数の砲火が閃き、
バリア装置はたちまちの内に火の海に呑まれるが、
巨大な装置全体の機能を止めるには至らない。
「やはり、中央の制御装置を破壊するしかありませんな」
デザンスの分析に合わせて飛行経路を算出した
スコールが渋面を浮かべる。
「どう進んでも、フリゲーターが割り込んでくるわね。
さすが、名将ヴィラルド・ジャガードと言ったところかしら」
ライオネルのガンダックMk−2と激戦を繰り広げながら
フリゲーターやテンプレート中隊をはじめとする
麾下の戦力を統帥するその手腕は恐るべきものだが・・・
ヴィラルドから後事を託された者の責任として、
ここで奴を超えて行かねばならぬ。
「敵艦、フリゲーターは顎や爪を駆使した
強力な格闘戦機能を持っております。
接近戦になる前に勝負をつけるしかありますまい」
デザンスの提言を受けて、グレアムは意思を固める。
「うむ・・・ここはザイン粒子砲で先制するしかあるまい。
これより、本艦はトランスフォーメーションを実行する!!
総員、耐ショック体制!!」
着陸体制に入ると同時に変形を開始するドニュー、その側面。
「フハハハハッ!そう来ると思っていたぞ、グレアム!!
だがまさか、これで終わりではあるまいなぁ!?」
ライオネル機との交戦の一瞬の隙を突き、突出したヴィラルドが
ドニューのブリッジへと急迫する。
「無論、そのつもりだ」
応える声は、飛びかかるトゥルム・ドナーの真下から。
同時に直撃する、レーザージャベリンとVTFミサイルの一斉攻撃。
怯むヴィラルドの懐に飛び込んだディープイエローの機影が
叩き込んだ肘から発生するバニシング・バックラーの
斥力場がトゥルム・ドナーの巨体を押し返す。
決戦に備え、入念に調整を重ねてきたグレアム専用機、
リヴェロ・グランデが、追いついてきたガンダックMk−2と
並び立ってヴィラルドの前に立ち塞がる。
「お前の犠牲は無駄ではなかった。それを今こそ証明してやる」
「俺たちの手で、今度こそ眠るがいい」
グレアムの、ライオネルの言葉に、ヴィラルドが獰猛に破顔する。
「良かろう。それでこそだ!
来るがいい、兄弟!俺がすぐに解放してやるぞ!!」
2023-03-26 11:41:31 +0000